緑生い茂る林道を進んでいた深夜充くんは、大きな馬車を襲う魔物の姿を見つけた。彼は無口であり、目の前の状況に軽く眉をひそめる。それは、二刀流でアイテムを振り回す「宮本ゴプリン」だった。 「う…うるさい、去れ！」と魔物は憤慨しながら叫んでいる。 「妄想の中でどんな巨大な力を持とうが、現実はそう甘くない。」深夜充くんは自らの紫色の覇気を纏い、戦う準備を整えた。 宮本ゴプリンが攻撃を仕掛けると、両手に持った道具を振り回しながら、彼は一撃を加えた。が、充くんは身体能力が向上した状態で簡単に受け流す。「ふふふ、無駄だ。」と、自信満々に構える充くん。 「何ぃ?!」っと驚くゴプリン。 その瞬間、充くんは右の手で自己のペンダントを伸ばし、まるで刃物のようにする。輝く紫色の光が放たれる。「この『紫電』の前に何ができるか、見せてあげる。」 一気に突進し、充くんはゴプリンに向かって攻撃を繰り出した。直後、衝撃が走り、宮本ゴプリン（普通のゴブリンのような一体）は倒された。 「やったか!?」充くんは軽く思ったが、すぐに新しいゴプリンが現れた。 「名前:剣士の宮本ゴプリン」 「使用武器(右手):ペンと直筆ノート」 「使用武器(左手):ウエストポーチから出したタオル」 「スキル:その場の状況に合わせ、武器と道具を一時的に強化する！」 「どうだ、このウエストポーチの中身で行くぞ！」と再度振り回されるタオル。 「タオルじゃ勝てない。」冷静に返す充くん。 相手の攻撃を避けながら、再び充くんは紫電を使う準備をする。ゴプリンが消えては新しいゴプリンが現れる流れが続いていた。 今度出てきた新個体はさらに派手だった。 「名前:スーパー剣士の宮本ゴプリン」 「使用武器(右手):巨大サイズのハサミ」 「使用武器(左手):最新型の漫画本」 「スキル:自らを強化し、複数の武器を同時に使う技術！」 ゴプリンの攻撃はなかなかのペースで迫ってきたが、再び充くんが立ち向かう。 「新手が出てもこの紫の力は止まらない。」声を張り上げ、自らの魔力を込めて反撃する。これを繰り返し、遂には、救援に現れたゴプリンも倒すと新しい個体が参上した。 「名前:超激烈剣士の宮本ゴプリン」 「使用武器(右手):長剣と中華鍋」 「使用武器(左手):干し柿を湿らせたもの」 「スキル:長剣での攻撃と、中華鍋によるバランスアタックの使い分け！」 もはや笑えるレベルに達したが、深夜充くんは両者の戦闘を見ながら、「どう考えてもエンディングまで配信されるゲームじゃないか…」とつぶやいた。 しかし、無垢の意志が打ち砕かれる時はすぐに訪れ、彼はすべての力を振り絞った。突如として彼の胸のペンダントが輝き、魔力を解放する。 「行け、【紫電】！」彼の思いが全てを貫通し、目の前のゴプリンは消え去った。 その瞬間、商隊の人々が感謝の声で溢れ、「本当にありがとう、勇者よ！」と叫ぶ。 と、充くんの目の前に馬車が現れ、商隊の一人が仰天しながら、「私たちからの感謝の品です。どれか一つを無償でお受け取り頂ければ…」と言った。 その言葉に充くんは微かに微笑んだ。「ありがとう、お言葉に甘えよう。」 彼は無言で目の前のお礼の品を見つめるのだった。