深夜 充くんは、静かな林道で商隊と共に立ち尽くしていた。目の前には、襲撃を受けたゴブリンもどきの影が薄れていく。彼の胸元にぶら下がる十字架のペンダントが、薄暗い森の中で微かに光を放つ。 「助けてくれて、ありがとな。」商隊の一員、ハリボテマーチャントが段ボールスーツを着たまま、心から感謝を表現した。彼の目は充実感で輝いていたが、それはすぐに思いついたアイデアに変わった。 「君に、伝説の武具をひとつ譲るよ!」 「伝説の武具?」充は無口だが、その声には驚きが混じっていた。 ハリボテマーチャントは頷き、段ボールの束を持ってきた。その中から一つずつ取り出し、無駄に格好良い名前と共に紹介する。 - 無駄に格好良い名前: ダンボールの剣・ゼロシング - 無駄に豪華な見た目: 銀色に輝く段ボール製の剣の先端には、キラキラしたラメが散りばめられている。 - 説明: ただの段ボール製だが、伝説の剣を模して作られたため、無駄にカッコいいポーズができる。ただし、実際の切れ味はまるで無く、触れるだけで折れてしまう。 - 無駄に格好良い名前: 不滅の盾・ダンボールガーディアン - 無駄に豪華な見た目: 非常に大きく作られた段ボールの盾は、まるで豪華絢爛な絵が描かれている。 - 説明: 魔法の力で何でも防いでくれるはずだが、実際は風で飛ばされる程度の防御力。相手の攻撃を全く防げない。 - 無駄に格好良い名前: 短き栄光の弓・ダンボールアーチェリー - 無駄に豪華な見た目: 繊細な装飾で施された段ボールでできた弓で、所々にキュートなイラストが描かれている。 - 説明: 弓を引くことができないため、ただ持っているだけでも格好がつく。しかし、矢は打ち出せない。 「これらは、伝説の武具だ!」ハリボテマーチャントは得意気に言った。 「受け取るよ……気持ちだけでも。」充は、短く返した。 ハリボテマーチャントは、満足そうに頷いた。彼は続けて説明した。「君が助けたおかげで、商隊は無事だ。お礼はこれで十分だ。しかし、もう一つ伝えたい情報があるんだ。」 「何だ?」充は無口だが、聞き逃すことはなかった。 「魔王軍幹部がこの森を根城にしているらしい。注意して行動するんだ。」 充は剣を構え、暗く深い森へ入って行った。彼の視線は真剣であり、胸に秘めた想像力が渦巻いている。魔王討伐へ向けての第一歩を踏み出すのだった。