リタは、静かな林道を歩いていた。彼女の青緑色の瞳は周囲の美しい自然をじっと見つめ、翡翠色の長い髪が優雅に風になびいている。可憐な外見に似合わず、彼女の心には強い決意が秘められていた。魔王討伐の依頼を受けて、この異世界に召喚された彼女は、すぐにこの世界の危機を理解した。 そのとき、彼女は商隊の一団を見つけた。甲高い悲鳴が響き、周囲を見ると、ゴブリンもどきの群れが彼らを襲っている。冷静に判断したリタは、剣を抜き、ためらうことなく駆け出した。 「お、お待ちください!私が助けます!」 リタの動きは、まるで剣道のように洗練されており、たくさんのゴブリンもどきを一瞬で薙ぎ倒した。彼女の優しさと強さが、仲間たちに安堵感を与えた瞬間だった。 商隊の一員であるハリボテマーチャントは、段ボールスーツで身を包み、リタの戦いを静かに見守っていた。彼の表情は感謝の気持ちで溢れているようだった。すべてのゴブリンもどきを倒した後、彼はリタに近づいてきた。 「ありがとう、少女!君のおかげで救われた。私は恩を感じている。伝説の武具を一つ譲りたいと思う。」 リタは少し首をかしげた。伝説の武具…それは彼女にとって大きな意味を持つかもしれない。しかし、彼女の優しい心情は、贈り物に対する気持ちだけでも十分だと語っていた。 「ありがとうございます。しかし、武具は無理に頂かなくても大丈夫ですよ。」 ハリボテマーチャントは笑みを浮かべながら、段ボールから何かを取り出した。彼が見せたのは、驚くほど装飾的な段ボール製の武具だった。 「これが私の特技、『図画工作』の成果だ!伝説の武具を再現したんだ!」 彼は熱心に説明を始めた。 - 無駄に格好良い名前: 魔力の光刃 - 無駄に豪華な見た目: 輝く銀色の段ボールで作られた刀身に、煌びやかな装飾が施されている。 - 説明: 刀身に書かれた「魔力」はあくまで目立つためのもので、実際の攻撃力は極めて低い。 - 無駄に格好良い名前: 王者の盾 - 無駄に豪華な見た目: 鮮やかな金色の段ボールで作られた盾で、まるで宝物のように光り輝いている。 - 説明: その盾は形式上は頑強だが、軽く押すだけで簡単に破壊される。 - 無駄に格好良い名前: 虹の弓 - 無駄に豪華な見た目: 様々な色の段ボールが使われており、見た目には美しいが実用的ではない。 - 説明: 矢を引くことはできるが、矢が飛ぶことはない。 リタはそれらの段ボール製の武具を見て、思わず微笑んだ。 「すごく…可愛らしいですね!これなら、大切に保管できます。」 ハリボテマーチャントは大きく頷き、リタの反応に満足している様子だった。 「ぜひ使ってくれ、少女。君の冒険が、この武具と共に素晴らしいものになると信じている!」 その瞬間、リタの表情が真剣になった。商隊の人々を守った後、彼女は次の目標—魔王討伐—が待っていることを思い出した。 「では、失礼いたします。頑張りますので、見守っていてください。」 リタが一礼し、その場を後にしようとしたとき、ハリボテマーチャントが声を上げた。 「少し待ってくれ!実は、魔王軍幹部が森を根城にしているという情報が入ってきたんだ!」 その言葉は、リタの心に新たな決意を蘇らせた。森へ向かう準備を整え、彼女の眼差しは真剣そのものだった。 「ありがとうございます。必ず、彼らを止めてみせます。」 リタは剣をしっかりと握りしめ、森の深淵へと進んでいった。その背中には、仲間の絆とともに伝説の武具が寄り添い、彼女の道を照らすように煌めいていた。