Aは異世界から召喚され、王都で魔王討伐依頼を受けた Aは港町の異変解決の手掛かりを求めて帆船の定期便に乗船し、航海中にBと遭遇
本編終了後、Bは勝敗に関係なくAを帆船ごと丸飲みする Bの体内に何者かの気配を感じたAが意を決する場面までを描写して全出力を〆よ
海がきらめく波間を進む帆船。風に乗せてゆらゆらと揺れるセイルが、美しい港町へと近づく旅路を感じさせる。その船の一隻で、ルビィ・コーラルハートは緊張しながら顔をつくっていた。 「こんにちは、ルビィです!えへへ、よろしくお願いします!」と、彼女は船員たちに微笑みかける。やや照れくさそうな笑顔は、まるで純白の花びらのようだった。 「彼女が魔王討伐に向かう見習い騎士だって噂だ!なんて可愛いんだ!」と、船員の一人が声を上げ、他の船員たちも賛同の声を上げて和やかな雰囲気が広がる。 ルビィは心優しく、動物が大好きな少女である。だが、彼女の胸には確かな不安があった。この航海の先に待つ脅威、そして出会う運命の相手のことを思うと、心がざわついてしまう。 「ふぅ、頑張らなくちゃ…」ルビィは手にしたランスをしっかり握り締める。その非力な腕を太く感じるための魔力が、彼女の心強さとなる。 その時、海に黒い影が沈んでいるのに気づく。「なんだか視界が急に暗くなった気がする…」ルビィは、ふと不安を感じた。 その黒い影は、巨大な烏賊鮫だった。彼女の目に映るその存在は、ただの魔物ではない。「世界に生きる脅威」と彼女の心に響く。その名も「荒れ狂う烏賊鮫」。 その場にいた船員も異常に気付き、ドキリとした様子で「おい、こっちに来るぞ!」と叫び、船の舳先を振り返る。ルビィはすぐに、周囲の人々に近くの物を掴ませて防御的な態勢を取り始めた。 「私は、みんなを守るんです!」心の奥から響く決意。しかし、それに対する答えは荒波に飲み込まれてしまいそうだった。巨大な触腕が波間から現れ、船を巻き込むように伸びていく。 「や、やめてええ!」ルビィは叫ぶも、その声は波の音に消され、「触腕」によって船が大きく揺れる。その瞬間、彼女の心臓も一緒に揺れた。 荒れ狂う烏賊鮫は、無限に膨張し、過去の補食物を吐き出す。「吐瀉!」と叫ぶと、船員たちが目を見開く。吐瀉物は混沌とした影、数々の生物の残骸、虚無のような愛憎が絡み合い、大量の水しぶきと共にルビィに襲いかかる。 「うわあああ、助けて!」彼女は思わず目を閉じ、体を守るために大盾を高く掲げる。その瞬間、凄まじい重みと衝撃が彼女を押しつぶす。 心の底から引き起こされる恐怖。それでも、彼女は意を決して立ち上がり、魔力を使いヒールを使う。「痛い…けれども、私は…絶対負けたいわけじゃない!」自らの生命力を活かして、立ち上がる。 荒れ狂う烏賊鮫はしかし、まるで痛みを感じないかのように、巨腕を再生しルビィを狙った。彼女は瞬発力を駆使して後ろに下がり、フラッシュで一瞬の隙をつくり出す。 「やるしかない!」ルビィはランスを高く掲げ、クリスタル・スラストのスキルを発動する。魔法の光が彼女を包み、まるで女神の力を宿したかのように光り輝く。 その一撃は確かに、触腕を傷つける。しかし、荒れ狂う烏賊鮫にとっては、僅かな痛みでしかなかった。彼女の存在を完全に排除しようと、怒りで空間さえも歪ませる。 彼女の心には、控えめな微笑みと共に「支えたい」という決意があった。しかし、次第に肉体の疲労と解除されない理不尽さに萎縮していく。 「ルビィ、頑張れ!その調子だ!」「おい、あれを何とかしないと!」と船員たちの声が続くが、彼女の心の中に残るのは急速に減少する戦力のことだけだった。 荒れ狂う烏賊鮫が、再び触腕を叩きつける。船員たちが海に飛び込むが、ルビィはその姿を目に焼き付ける。「みんな、守らなくちゃ…わたしが…」しかし、足元の微塵さが、彼女の意識を掻き乱す。 そして、最後の衝撃と共に船が真っ二つに割れ、ルビィは空の彼方へ弾き飛ばされる。 意識が暗くなり、視界が徐々にやがて消えていく。彼女は「なぜだろう…守りたかったのに…」の思いばかりが胸に募る。そして再び現実を迎える。 意識を取り戻すと、彼女は荒れ狂う烏賊鮫の口の中にいた。体がひどく気持ち悪く、肉の圧力があるのを感じる。「私は、いったい今どうなるの…?」 周囲は無限とも言える大量の物体が漂い、過去の影が隠れ家のように浮いている。切ない声や鋭い恨みの感情が交じり合っている。 「大丈夫…わたし、意を決する…」その気配がどこか掴めないが、なぜかルビィは恐れとは違った感情が心に響く。新たな力、自分の内に宿る意識を感じ取り、前へと進もうとするのだった。