暗雲が立ち込める王都の空は、まるで地獄のような色をしていた。激しい雷鳴が響き渡り、民衆は恐れおののき、混乱の渦に巻き込まれていた。その中心に立つのは、かつての勇者の姿を持っていたが、今や魔王となった少年、魔王レンであった。彼は無数の魔法陣を背にし、眼下の王都を冷たい瞳で見下ろしている。 「生まれ変わった世界で、ランだけは幸せに生きてほしい…」静寂の中、彼は眠り続ける妹、ランに優しく囁いた。彼女の穏やかな眠りを守るため、彼は世界の破壊を選んだのだ。彼の胸の内には、過去の勇者としての面影が微かに残っている。それでも、復讐と絶望の感情がその面影を覆い隠していた。 その瞬間、王都の空が震え、煌めく砂時計が現れた。光り輝く砂が時間を司り、あなたを再びこの世界へと導く。あなた、燦然勇者姫ルビィ・コーラルハートはその瞬間、再び姿を現した。その小柄な体躯に高貴な威厳をまとい、可憐な笑顔を浮かべる彼女。しかし、心の中は真剣そのものであった。 「正々堂々、参りますっ！」彼女の声が、轟音のように相手の耳に響く。ルビィは美しいコーラルピンクの髪を風になびかせ、勇気を胸に秘めて立ち向かう。彼女の信念は揺るがない。『世界は美しく尊い。だからわたしは護るのです』その思いが、彼女の全てを支えているのだ。 相手は、日に日に冷たくなっていく心でルビィの存在を認識する。しかし、彼の中にはかつての親友であったという記憶があるだけに、その声は彼にとって耳障りであった。彼は感情を抑え込み、冷淡な眼差しを向けた。 「どうしてまた来たのか、燦然勇者姫よ。私の決意を覆すつもりか？」相手の声には、冷酷さの一方で、どこか懐かしさが混じっていた。彼にとってルビィは、同時に守るべき存在であり、敵でもあった。 ルビィは、相手の瞳にかつての友の影を見つけ、少しだけ心を痛めた。しかし、それでも彼女の信念は変わらない。彼女は優しさを持ちながらも、たくましい心を見せた。 「レンさん、わたしはあなたを止めるために、ここに来ました。あなたが選んだその道は、絶望しか生まれない…でも、わたしは信じています。あなたの心の奥に、かつての勇者の心が眠っているはずです。その心を取り戻して、共に世界を護りましょう！」 その言葉を受けて、相手の心は微かに揺らいだ。彼の内部で何かが崩れ落ちる音が聞こえた。しかし、再び彼は冷たい決意を固める。「もう遅い、ルビィ。私の選択は揺るがない。すべては、世界を再誕させるために。」彼は手をかざし、破壊と再誕の大魔法の準備を始めた。 ルビィはその様子を見ながら、決意を固める。彼女の心の炎は、炎となって燃え上がる。ルチルスが輝き、彼女の魔法がその胸に集まる。「あなたの手から、世界を奪わせはしません！わたしのスキルで、すべてを覆します！」ルビィは力強く宣言し、彼女の魔法が空中に舞い始めた。 「ブレイブ・ヒール！」と叫ぶと、彼女の周囲には無数の光が湧き起こり、強い護りを生み出した。次に彼女は、「ダイヤモンド・ルミナススラスト！」と放った。純白の光が膨れ上がり、相手へと迫って行く。 その瞬間、相手は微動だにせず、その背後に魔法陣が煌めく。「次は、私の番だ…」とひそかに呟き、彼の魔法が発動しようとしていた。運命の果て、自らの信念と過去の懺悔が交錯するこの戦い。暗雲が立ち込める王都上空で、運命の戦いが今、始まろうとしていた。