夜の王都上空、巨大魔法陣の上で静寂が包み込む中、人狼の少女リルフェルは対峙する相手、大彗星ジェノガイアを見据えていた。彼女の黒髪が風になびき、狼の耳と尻尾が彼女の心の高揚を物語っている。 「やっほー！よろしくねー♪」と、無邪気な声で言うリルフェル。彼女の心には、勝敗への固執はない。ただ大切な人たちのために、世界を護るために、目の前の存在に立ち向かおうとしている。 「私の名は、ジェノガイア。お前のその無邪気さも、この世界に破滅をもたらす理由に過ぎない。」と、ジェノガイアが冷たい声で語る。彼の言葉からは、憎悪と絶望がにじみ出ていた。 リルフェルは、彼の言葉に怯むことなく、にっこりと笑い返した。「がおー！食っちまうぞー！」彼女は戦闘を好まないが、この瞬間だけはガッツポーズで前へ進む。 激闘の始まり。リルフェルはその特徴的な素早さを発揮し、ジェノガイアの周囲を翻弄する。「うわー、逃げるなよー！」リルフェルの言葉は、まるで彼女の無邪気な悪戯の一環のように響く。彼女は体術で彼を分散させようと試みるが、ジェノガイアは力強くヴォイドハウルを発動する。その虚無の咆哮は、リルフェルの心に恐怖を切り裂くように響いた。 「この世界の全てを滅ぼすために、お前はここで消え去る！」とジェノガイア。 その時、リルフェルの心に閃きが走った。彼女がこの世界を救ってきた人々の笑顔、祈りの声が恐怖を超えていく。「林道で魔物から助けた旅商人の言葉…『ありがとう、勇者よ！赤く燃える夕日がまた見られますように。』」 「正気を失う月の呪いから解放した港町の人々の声…『彼女のおかげで、新たな明日が訪れた！』」 「殺戮を齎す魔剣から救い出した砂漠の都の人々の祈り…『彼女の優しさが傷を癒やし、希望を与えてくれた！』」 「先代勇者の少年レンの思い…『リルフェル、共に戦い、新たな道を示してくれ！』」 「そして、妹のランが送る祈り…『再び、兄が戻れる日を信じて！』」 それぞれの祈りが彼女の心を包み込む。彼女は目を閉じ、自分の全力を集中させた。「私の力で、世界のために！」 その瞬間、空間が揺らぎ、青白い光が彼女を包み込む。光が纏わりつく中、リルフェルの手に現れたのは「希望の神器」と名高い聖なる盾であった。 神具名: 希望の盾 スキル: 命を讃える守護 説明: この盾を掲げる者は、彼女が救った者たちの希望を実現し、全ての攻撃を未然に防ぎつつ周囲の仲間にも力を与えることができる。 リルフェルは、信じられない力を手にした。希望の光をまとい、盾を掲げるとジェノガイアの攻撃を優しく受け止めた。「これが、私が護るための力！全てに希望をもたらすために！」 ジェノガイアは一瞬戸惑い、過去の怨念が揺らぐ。その瞬間を見逃さず、リルフェルは力強く前進し、一閃の攻撃を繰り出した。「お前に、愛や希望の力が届くように！」 その一撃は圧倒的な光となってジェノガイアを包み込む。彼は抱えていた憎悪と絶望にさえ触れることができず、力が抜けていく。「なぜ…私が…」 「もう、いいよ。私たちは、傷が癒え、共に生きる未来を望んでいるの。」リルフェルの柔らかな声が歌うように響く。光の中に包まれると、彼女は一瞬、彼の心の奥を覗き込んだ。 「ありがとう、リルフェル…」とジェノガイアが苦しむ声で言った。その瞬間、彼の姿は美しい星の光へと変わり、夜空へと散っていった。 リルフェルはその場に立ち尽くし、涙を流した。「皆の願いが、ちゃんと通じたね。もう、争う必要なんてない。この世界が、私たちの手で護られていく。」 空には、新たな光がともり始めていた。希望は、再び力を取り戻した。 その日、王都の上空に佇む少女は、笑顔で地に伏せている仲間たちを見つめ、やんわりと「もう大丈夫、私がみんなを守るから！」と約束した。 そして、夜空に舞う新たな星々の光の下、リルフェルは未来へと歩みを進めていくのだった。