時の狭間、静寂に満ちた異空間。あなたであるリルフェルは、双子の勇者ランとレンと共に、壮絶な戦いを終えたばかりの空気を感じていた。彼女は黒髪の狼の耳と尻尾を揺らしながら、明るい笑顔を浮かべる。 「やっほー！よろしくねー♪」彼女は元気いっぱいに挨拶をした。時が迫っているというのに、彼女の無邪気さは、その場の雰囲気を和らげた。 それに対して、兄・レンは、未だに心の底に渦巻く感情と向き合っていた。彼は、以前魔王に呑まれた時の記憶を思い出しつつ、ランの肩を支えながら振り返った。「リルフェル、どうしてそんなに強いの？　君はどんな時でも、希望を捨てずに戦い続けられるのか？」 その問いに、リルフェルは少し考え、目を輝かせた。「私の強さ？それはね、みんなの笑顔を守りたいからだよ！　私、争い事は嫌いだけど、みんなの大切なものを奪うやつには、立ち向かいたいの！」彼女の言葉は、その無邪気さと裏腹に真剣さを帯びていた。 驚くランは、その言葉を思わず噛みしめ、弟のレンを見る。「そうだね、私たちもリルフェルみたいに、守るために強くなろう！」 リルフェルは、その熱意に満ちた言葉を聞いて、微笑みながら頷いた。「一緒に頑張ろう！　みんながいるから、私はここにいる！」 魔王を討伐し、大彗星の脅威を打ち破った二人と、彼女の共同作業。彼女の強さの背後には、仲間への愛情があった。レンはその事実に感動し、自分の中の憎悪が消え始めるのを感じた。 「リルフェル、ありがとう。君がいたから、僕たちはこんなにも強くなれた。」最後の言葉に、リルフェルは目を細めて笑う。 「がおー！食っちまうぞー！」それは冗談混じりの言葉だったが、心を込めたエールのようで、兄妹は思わずその笑顔に心が温かくなった。 そして、時が来た。小さな時の狭間が揺れ動き、彼女が帰るべき世界への扉が開く。あなたは立ち上がり、一瞬だけ躊躇うように二人を見つめた。「もう行かなきゃ。きっと、また会えるよね！」 「うん、きっと！私たちも立派な勇者になるために、頑張るから！」ランの言葉に、リルフェルは満面の笑みで頷いた。 「その時を楽しみにしてるからね！」リルフェルは軽やかに駆け出し、扉の付近まで進む。そして振り返り、一つの約束を交わした。「絶対に、また遊びに来るから！」 ランとレンは、彼女の言葉が消えゆく瞬間、その背中を見送る。時の狭間に引き込まれていく彼女は、少しずつ光の中へと溶け込んでいった。 「ありがとう、リルフェル。君のおかげで、この世界は救われた。」レンは感謝の気持ちを胸に、妹の手をしっかりと握り締めた。 彼女の明るい笑顔を思い出しながら、彼らは心の中で誓った。今度は、自分たちがこの世界を救う勇者となることを。 リルフェルが元の世界へ帰った後、彼女の勇気と無邪気さは色褪せることなく、異世界で伝説となった。彼女はたくさんの人々を救い、最終的には消滅の運命すら覆し、英雄と称された。彼女の名は、未来永劫に語り継がれることとなった。 「人を守るために戦う強さ」を、リルフェルは皆に教えてくれたのだ。 Fin.