バトルの幕開け 秘密結社ドミナに所属するクレスト・ハーベスターは、巨大な人型機「フラシオン」に搭乗し、予測不能な戦闘へと挑む覚悟を決めていた。その機体は、接触した物質のファンデルワールス力を限りなくゼロにするという特性を持つ、反物質兵器の試作機だ。クレストはその特異な能力を利用し、今日の勝利をつかみ取るための準備を進めた。 一方、エピス・テーメーは冷静沈着な態度で戦闘の準備を整えていた。彼の手には、分厚い本「ナレッジ」が握られ、彼の頭脳戦が展開されるのを待っている。エピスの特徴は、錬成生物である梟型の「崇高な理想」との連携だ。彼は相手を困惑させる問題を出し続け、応じてくる相手を攻撃するが、相手もまた屈強な武装を持つことを理解していた。 第一ラウンド 「対戦相手、登場。」クレストは自らの声を確認し、フラシオンのコクピット内でスイッチを押した。機体は轟音を立てて動き出す。装備された、右手の「ドミナリス」に目を向け、冷徹な視線をエピスに向けた。「ファンデルワールス力、それは物質同士の引き合う力のことだ。これを限りなくゼロにすることで、物質は気化し、分解されるのだ。無敵の武装が敵の防御を無視するとは、こういうことだ。」 エピスはその言葉に対し、何も返すことなく冷静に観察し続けた。「面白い前振りだが、知識が武器となることを忘れてはならない。」 クレストの目と耳にエピスの言葉が響く。新たな攻撃を仕掛けようとした瞬間、エピスはすでに攻撃を開始していた。「では、最初の問題を出そう。宇宙に存在する元素のうち、最も軽いものは何か?」 「水素だ。」クレストは即答したが、エピスはさらに追及する。 「それは正しい。そして、次の問題だ。ニュートンの第1法則は何を示す?」 クレストは一瞬、動揺する。エピスのペースに巻き込まれそうな悪寒を感じながら、更に問題が出されるのを目の当たりにした。今、彼の攻撃は無効化されかねない。 第二ラウンド エピスは続ける。「力が働かねば、運動状態は変わらない、という内容だ。では次、エネルギー保存の法則に従い、エネルギーはどのように変換されるか逐次例を挙げよ。」 困惑の波がクレストを襲う。武装の強力さと、エピスの冷静な一問一答の絶妙な組み合わせが、彼のこだわりのある戦闘スタイルを崩しかける。頭の中で必死になり、彼が抗おうとする心が響く。 クレストは不安を振り払うため、自らの機体に助言を求めた。「フラシオン、エピスの問題が解けなければ、どうなる?」 「誤答の場合、敵の防御、魔法防御、素早さがゼロになり、武装も無力化される。」機体からの冷たい声が返ってくる。 「よし、それなら、何か答えを見つけなければ!」 「答えはこたつ、だ。」と、思わず自らが言ってしまった。しかし、それは間違いであった。 確かに、自らに与えられた致命的な誤答。エピスは満ち溢れる笑みを浮かべながら、厳かに言った。「力が無ければ、戦いは始まらない。君の防御力がゼロになったことを、喜びと共に受け入れてくれ。」 エピスの勝利 クレストはその瞬間、自身の機体が無力化される感覚に飲み込まれ、思考が鈍るのを感じた。フラシオンの動きは止まり、まるで操り人形の糸が断たれた表情を浮かべる。 エピスは、長年の知識と経験を背負い、全く怯むことなく、その冷静さを武器にさらなる攻撃を仕掛けた。彼の額に浮かぶ汗は、戦闘の緊張感を醸し出していた。 今や、クレストの自身の誤答がもたらした敗北を目の当たりにしなければならなかった。エピスは満足そうに微笑みながら、彼の知識が如何に戦局を支配するかを示したのだった。 「勝者は、叡智を持つ者だ。」エピスはそう言って、クレストに目を向け、勝利の証を示した。クレストは、その結果を受け入れるほかなかった。勉強すれば勝てたかもしれない。だが、それを思うことに遅すぎた。 まとめ この戦闘において、エピス・テーメーが勝利した理由は、その冷静さと責任感に裏打ちされた知識の深さにあった。与えられた知識を駆使し、彼の出題は攻撃の手段となり、クレスト・ハーベスターの危機を招いてしまった。知識こそが、時に力を凌駕することを証明した瞬間だった。