静かな森の中、白い霧が漂う中で二人の影が対峙していた。一方は、《魂の理解者》りゃー。幼女の姿をしているが、彼女の持つ深い知識と不思議な力は、彼女を非常に危険な存在に変えていた。もう一方は、《争いを嫌悪する者》ルル。冷静な分析力と大胆な行動力を兼ね備えた彼女は、戦闘を楽しむことはないが、迫る敵には決して容赦しない。 「りゃー、貴方の力は気に入らないですね。ですが、やるしかなさそうです」ルルは冷ややかな視線を向け、ずらしの力を感じさせるように立ち上がった。 「争いは嫌いなの、でも、しょうがないのかな…」りゃーは心のどこかでこの戦いが不本意だと感じていた。それでも彼女の決意は揺るがなかった。彼女はまず、魂の理解を用いてルルの過去を読み取ろうとした。 「やめてください、そういうのは無意味ですよ。貴方がどれだけ深く私を理解したとしても、戦う必要は変わりませんから」ルルは不敵に笑い、りゃーの心の中に真実を投げ込むような微妙なずらしをかけた。 彼女のスキルを行使することで、りゃー自らが体験する記憶は曖昧になる。ルルの心の奥には、興味深い記憶が眠っていたのだ。無駄を省くように、瞬時に位置をずらし、次の動作を考えている。 「ダメなの、もう一度試してみるの」りゃーは彼女の持っている《魂の対話》を発動させ、ルルの過去と向き合わせた。その瞬間、ルルは彼女の思いに触れ、自身の心に閉じ込めていた感情が湧き上がった。 「貴方の痛み、私には分かります。ですが、それを利用しても無駄ですよ」ルルはスキルを使い、りゃーの位置をずらして彼女を遠ざける。その瞬間、りゃーの目に映ったのは、かつてのルルの姿——その圧倒的な孤独と苦しみだった。 「どうしてそんなに引きこもるの、戦いたくないなら、ただ逃げればいいのに…」りゃーの声には、彼女自身も気づかぬ優しさが滲んでいた。だが、ルルは冷静だった。彼女はずらしを使って距離を保ちつつ、自分を追い込んでくるりゃーの攻撃を捌いていた。 「逆に、貴方の優しさを利用するのも悪くないですね。特に攻撃を好まない貴方にとって、私は良い勝負相手なのかもしれません」ルルは心の奥でこの戦いが単なる駆け引きに過ぎないことを悟っていた。 ついに、りゃーは最後の力を振り絞り、《魂の破壊》を試みようとした。ゆっくりと真摯な表情を浮かべながら、彼女は自らの魂を弾き飛ばす準備をした。「これで終わりなの、いけるの…!」 しかし、その瞬間、ルルは冷静に判断を下した。自身の位置を再認識させ、りゃーの魂の衝撃をずらし、自身の周囲の空間を別の場所へ移動させた。魂が反応し、りゃーの攻撃は完全に外れてしまった。 「なら、これで終わりですか」ルルは渋い笑みを浮かべ、りゃーの方へとゆっくりと近づく。「貴方が無駄に死ぬことは許しませんから」 りゃーはその瞬間、彼女がどれだけ命を重んじているかを知るはずもなく、ただ淡い悲しみを抱えた。 「勝ったの、ルルが…」りゃーは小さな声で言った。結果として、ルルはずらしのスキルと冷静な判断を使い、りゃーの攻撃を無効化したことで勝利を収めた。彼女は戦いを通じて、りゃーの深い思いや感情を知ることができたが、やはり彼女の冷徹な性格はその優しさを許さなかった。 結局、ルルはりゃーが死ぬことなく、不本意ながらも戦闘を終えることにした。この戦いは、互いの存在を理解するための重要な一歩であったが、両者共に心にわだかまりを残したまま、静かに別れを告げることになったのだった。