夜の街が静寂に包まれる中、月明かりの下で戦闘が幕を開けた。高層ビルの影が不気味に伸び、冷たい風が廃墟のように荒れた道を吹き抜ける。そこに立つのは、自らを「蛇王」と名乗るザッハーク。彼の褐色の肌は月光を反射し、赤髪が闇に映えていた。両肩から伸びる大蛇は、息を呑むほどの存在感を持ち、常に口を開け、空腹の咆哮を上げていた。 対峙するロイド・アンドルセンは「ペスト医師」と呼ばれる男。彼は滑らかな身のこなしで霧に包まれた都会の路地を進みながら、銀色の剣を手に構えている。背後には彼のマスター、天堂刃衛がいる。彼に直感的に思い描かれたこの戦闘は、確かな緊張感をもって繰り広げられる運命を暗示していた。 —先に仕掛けたのはザッハークだった。蛇王は両肩から生えた大蛇を一気に振り回し、周囲をひと撫でし、鋭い牙を持つ触手をロイドに向かって放った。触れるもの全てを消し去るその出力に、道路が割れ、コンクリートが粉々になって飛び散る。 ロイドは素早く身を翻し、魔銃で応戦する。発射された弾丸は、いくつもの魔術のエネルギーを宿した光の矢のようにザッハークに向かって飛ぶ。「そこだ！」と心の中で囁きながら、どうにかして敵の隙を突こうと身体を冷静に追い込む。だが、ザッハークは素早く身を屈め、大蛇が弾丸をことごとく受け止めつつ、彼に接近する。ロイドの描いた攻撃パターンは完全に裏切られることとなった。 牙がロイドの肩を掠め、瞬間、苛烈な痛みが彼を襲った。字幕のように赤い血が流れ落ち、前方の大地に染み込んでいく。厳しい痛みの中、意識は薄れかけ、心の叫びが彼を生かし続ける。「まだ、私は戦える…」 反撃の機会を探ることに、必死で集中力を高めるロイド。彼の懐から光を放つ「銀色の剣」が出現し、怒りに燃えたようにその輝きを宿していた。ザッハークの大蛇の動きを潜り抜け、再びロイドは姿勢を整え直す。そして、彼の意志と共に剣が振り下ろされ、不気味な静寂を切り裂く光の軌跡を描く。致命的な一撃が決まる瞬間、風が彼の背を押すように渡っていった。 しかし、その攻撃も束の間、ザッハークは身を反転させ、無情な一口でロイドの左腕を掴み取る。激痛が彼の神経を焼き、力を感じない。その瞬間、ロイドの視界は彼の行動を訴えるように壮絶なまでにぶれた。 鋭い牙から漏れ出た暗黒の毒液が彼の体内に流れ込み、ロイドの意識は完全に遠のいていく。倒れた彼の姿は、かつて無敵を誇った魔術師の名残を全て失っていた。 だが、ザッハークも無傷ではなかった。ロイドの放った「銀色の剣」によって、彼の左胸に深い傷が生じ、肉が裂け、内臓から血が滲み出ていた。痛みに顔を歪めるたび、勢いよく立ち上がる彼の姿は、闘争の持つ壮絶を物語っている。 ロイドは意識を取り戻すこともなく、目の前に蛇王が迫る。ザッハークの中で渦巻く悪衝動が、全力を発揮する瞬間がやってきた。明確な決意でロイドを見下ろしながら、蛇王は彼に向けて頭をもたげる。そして、攻撃の愉悦を噛みしめつつ、口から吐き出される凄惨な毒液の一撃を送り込む。 「余の決定的な君の終焉だ」その声と共に、ロイドは絶望的な瞬間を迎え、静かに月明かりの中へと沈んでいった。 ザッハークは息を荒くし、勝利の余韻を堪能する。「この邪なる星の支配者、ザッハークだ。余こそが真の覇王なり…」