【序章】 小さな村の片隅。見習い冒険者セイナは、朝の冷たい風に包まれながら、本を手にしていた。彼女の目は、映し出された文字に夢中だった。この世界では彼女は魔法使い、特に風の魔法を使う少女だった。そして、戦斧を持ち、敵を切り裂くことを好むファイターでもある。 「行きますよ！」セイナは本を閉じて立ち上がり、戦斧を肩に担ぐ。 彼女は自分の冒険がどのように進むのか、期待と緊張に胸を膨らませながら、村の外へと踏み出した。 【異世界召喚】 その日、セイナが村の周りを探索していると、急に空が暗くなり、何か大きなものが落ちてくるのを見た。目の前に現れたのは、異次元の裂け目。彼女はそのまま吸い込まれ、異世界へと召喚されてしまった。 気がつくと、彼女は見知らぬ城の広間に立っていた。広間には豪華な装飾が施され、巨大な玉座に座っている老人の姿があった。 「あれ？どこかで見たことあるのう…飯はまだかのう？」老人はぼんやりとうつろな目をしていた。 【招待状】 「失礼します！」セイナは思わず声を出して、老人に近づいた。「わたしは見習い冒険者…セイナです。呼ばれたのでしょうか？」 「ほう、わしの名前を知っているのかね？」老人はほんのりと微笑みながら、首をかしげた。「そうじゃ、わしは国王陛下じゃが…」 「国王陛下！？」セイナは驚く。「それで、どうして私を召喚したのですか？」 「うむ、わしはあれをしたいのじゃ。なんじゃったっけ、ああ、魔王討伐じゃ！！そうじゃ、魔王を退治してほしいのじゃ！」ちらりと顔を上げた老人は、誰に言うでもなく再び眠りに落ちた。 【いざ城へ】 セイナは困惑した。国王がボケていて本当に頼りになるのかと思ったが、彼女は任務を与えられたことで胸が高鳴った。「魔王…とっておきです！」セイナは戦斧を握りしめ、任務に出発する覚悟を決めた。 「家臣の方々、国王に頼まれた魔王討伐を引き受けます！」彼女の言葉に家臣たちは微妙な顔をした。 「お、お願いしたいのは国王陛下だけなのですが…」 【王です】 「おっと、そうか！」老人が目を覚ます。「そなたの冒険の準備を整えなければならんのじゃな」 セイナは自分の立場を思い出し、王からの指示を待つ。しかし、王は自分の仲間に向かって「おい、飯はまだかのう？」と尋ね、またもやその場から意識が遠のいてしまった。 【こいつ本当に王なの？】 「え、えっと…セイナ様！国王陛下は昔の勇者だったのですけど、今は…」一人の家臣が顔を歪める。 「それは大変ですね。でも、悪いことではないとも思います。」セイナが励ますと、家臣たちはほっとした表情を見せた。 「国王様は魔王を倒したことがあるんです。本当に勇者だったのです。ですので、セイナ様、どうか国王陛下のために頑張っていただければ…」 セイナは微笑んでうなずいた。「わかりました！あたしが魔王を倒してみせます！」 【あなたの冒険の始まり】 こうして、セイナの冒険が始まった。巨大な戦斧を手に、風の魔法を駆使し、彼女は王の期待に応えるべく旅立つ決意をした。 しかし、後ろでは国王がむにゃむにゃ言いながら居眠りを続け、新たな家臣たちは彼の寝言に耳を傾けながら、セイナに再び向き直った。 「それでは、セイナ様、出発をお待ちしております。魔王討伐へと…」 セイナは小柄な体で立ち上がり、大きな戦斧を持ち、颯爽と前に進んだ。「行きますよ！」 こうして、異世界での新たな冒険の幕が開かれたのだった。