見習い冒険者セイナは、緑色の三つ編みを揺らしながら、常夜の港町ムーンライトの雑多な雰囲気を感じ取っていた。町の中心にある広場では、町民たちが踊り狂い、意味不明なことを口にしている。セイナは不安そうに周りを見渡し、心の中で「これは本当に正気を失った人々なの?どうしてこんなことになってしまったの?」と考えながらその場を離れる決心をした。 「まず、情報を集めてみよう。町の人に何か聞けるかもしれないし、もしかしたら手がかりが見つかるかもしれないわ。」 少し進むと、ひとりの町民が目に入った。「余も老けて参りましたァン!」と叫びながら、周りで踊る仲間たちに混ざっている。セイナは顔をしかめつつその場を離れ、別の町民へと近づく。 「すみません、もしよかったら教えていただけますか?」と、彼女は声をかけてみる。だが、返ってきた言葉は「ピーピーピー(機械音) 跋扈します。ご祝儀下さい」と、まるで何かの呪文のようだった。セイナはがっかりしながら、その場を後にした。 「どうしよう…この町に正気の人なんていないのかしら?」彼女は困惑する。しかし、心の底では、こうした混乱を早く終わらせたいという気持ちが強くなっていた。魔王討伐依頼の途中に、このような現象に直面しているのは、彼女にとってあまりにも予期せぬ出来事だった。 「まず武器が欲しいな…斧を手に入れないと。」彼女は心の中で自分に言い聞かせた。戦斧を使った戦闘を得意とする彼女にとって、適切な武器がなければ戦闘自体を行うことはできない。 町の港へ向かう途中、別の町民に遭遇した。「いあ、いあ、パスタぁ…」と意味不明な言葉を繰り返す彼。その様子にセイナはもう一度疑問を抱いた。どうして町民がこんな風になってしまったのか、根本的な原因を突き止めなければ、この町を救うことはできない。 港に着くと、数隻の帆船が待っていた。船員たちも不安そうに港の様子を見守っている。セイナはその中の一人に近づき、彼に町のことを聞いてみる。「すみません、この町はどうしてこんな状態になっているのですか?」 船員はため息をついた。「朝が来なくなって以来、町民たちは次第におかしくなったんだ。何かの呪いかもしれない…。」 セイナは記憶をたどりながら、月光というスキルをふと思い出した。「私にも何かできるかもしれない。まずは、船で大陸を渡って情報を集めよう。」 船員が頷く。「おお、ぜひとも乗ってくれ。こういう状態だから、君みたいな若い冒険者が必要だ。明るい未来を切り開くために、出来る限り協力する。」 彼女は自信を取り戻した。「わたし、頑張ります。少しでも手助けができるように。」そしてセイナは持っていた閃光玉を確認し、何かの役に立てればと心に決めた。 船が出発する準備が整い、セイナは港の穏やかな波を見つめる。「きっと、何か元凶を見つけ出して、町を救えるはず。わたしの冒険は、まだ始まったばかりだから。」 ゆっくりと港町ムーンライトを離れ、彼女は新たな目的地への旅に出る準備を整えた。自らの力で、混乱した町を再生させるために。セイナは戦斧をしっかりと握りしめ、航海の冒険に胸を弾ませるのであった。