前日譚 遠い昔、聖なる神剣エザム＝イドラは闇の存在アグニ＝エスカを相手の古びた時計塔に封印した。この町、砂漠の都・タタールは、かつてその神剣の力によって平和を享受していた。しかし、時は流れ、勇者不在の間に魔王軍が現れ、タタールを侵略することとなった。 魔王軍は、時計塔の封印を解き、封じられていたアグニを呼び出した。町は恐怖と絶望に包まれ、その結果町民たちは避難し、街は荒廃していく。だがこの時、運命の扉が開かれる。見習い冒険者のセイナが、この世界に召喚されたのだ。 本編 セイナは、砂漠の都タタールに流れ着いた。小柄な体格に緑の三つ編み、眼鏡をかけた彼女は、戦斧を手にしつつ眼前の時計塔に目を向けた。もう何年も封印されていた神剣が、今ここに存在していると信じる理由があった。 「わたしは、魔王を討伐するためにここに来たの。」 セイナは、突風に吹かれながら自らを奮い立たせた。すると、その瞬間、時計塔の中から赤い光が溢れ出し、アグニが姿を現す。 「誰だ、愚かな者よ！私に挑むとは！」 セイナは一瞬怯むが、負けじと戦斧を構えた。「あなたを、止めるために来たの！」 赤い光が閃き、アグニが彼女に襲いかかる。その時、彼女の心に天からの声が響いた。 「私はエザム＝イドラ。お前を助けよう。」 神剣エザムが、彼女のもとに降り立つ。セイナは驚きつつも、エザムの力を借りることを決意した。「エザム、わたしを導いて！」 指先に力を込め、彼女は叫んだ。「エアスラッシュ！」大量の風の刃が生み出され、アグニに向かって飛んでいく。衝撃音が町を揺るがし、タタールの住民たちがその戦いを遠くから見守っていた。 「衰えた者よ、我が力は恐ろしいぞ！」とアグニが吠え、再び攻撃を仕掛ける。しかし、セイナは負けない。エザムの力が彼女に流れ込み、心の中に不屈の意志が燃え上がる。 「アグニ、あなたを討つ！」セイナは戦斧を振り上げ、一閃した。 エザムとセイナの連携は見事だった。二人は力を合わせ、ついにアグニを打ち破った。そして、その瞬間、町の空気が変わった。魔王軍が撤退し、かつての静けさが戻ってきた。 町民たちが歓喜の声を上げ、タタールは再び人々の手に戻った。 「ありがとうございます、セイナさん！」とスミスが笑顔で語りかける。「あなたのおかげで私たちは戻ってこれた！」 「まだ、わたしは旅の途中です」とセイナは微笑みながら応じた。 後日談 歓声の中でセイナは一つの決意を抱いていた。町を救ったのは嬉しいが、彼女にはまだ果たすべき使命がある。魔王が背後にいることを知り、彼を討つ旅をする必要がある。タタールを後にする前、彼女は町の人々に向けて最後の言葉を贈った。 「わたしはこれから魔王城を目指します。再び、この世界に平和を取り戻すために戦います。」 町民たちはその言葉に拍手し、彼女を送る。セイナは新たな仲間たちと共に、広がる砂漠と、不穏な魔王の存在へと向かって歩き出した。 旅路は険しいが、彼女はもう一人ではない。勇気を持って、意志を持って進む。タタールの人々の笑顔を胸に、セイナは冒険へと旅立ったのだ。