時の狭間。無限に広がる空間に漂う色彩は、まるで夢のような世界の一端を見せていた。そこに、かつての絶望を乗り越えた「風の冒険者」セイナの姿があった。彼女は緑色の髪を三つ編みにし、眼鏡をかけた小柄な少女。大振りの嵐の斧を手に、その姿は一見すると可愛らしいが、その背後には計り知れない力が秘められている。 彼女の戦いの記憶が甦る。魔王との壮絶な戦闘に、数多の人々を救うための戦い。数えきれない希望の束が、彼女の胸を貫いていた。だが、今はその使命を終え、帰る瞬間が近づいている。この無限の次元で彼女を待つのは、双子の勇者・ランとレンだ。 「セイナ、会えて嬉しいよ。」レンが微笑みながら言った。彼の姿は以前とは違って見えた。心に宿る憎悪の影は消え去り、清らかな希望の光が注がれている。「俺たちを救ってくれたのに、今度はお別れなんて…。」 「わたしもあなたたちともっと一緒にいたかったよ。」セイナは心から答える。「でも、わたしの使命は終わった。新しい希望の道を歩むのは今、あなたたちの番だ。」 「どうしてそんなに強いの？」ランがその瞳に疑問を浮かべる。「どうして最後まで希望を捨てずに戦い抜けたの？」 セイナは少し考えてから答えた。「あなたたちが持つ優しさ、友情、人々の想いが、自分の力になったから……だから、あきらめずに戦えたの。希望を持っている人々がいる限り、どんな困難でも越えられるって信じている。」 レンの目が潤んだ。「私たちが頼るべき存在は、ずっとセイナだった。あなたがいたからこそ、私たちも信じて前に進めた。」 「だから、もっと強くなって。あなたたちの力を信じて、みんなを守り抜いて。私が見守るから。」セイナの言葉には、未来への信頼が込められていた。 お互いの絆が深まり、涙と笑顔が交錯する中、セイナは二人を抱きしめた。その瞬間、彼女は自分が歩んできた道に思いを馳せた。出会った人々が、彼らの運命が重なり合った瞬間……全ての想いが一つになったかのようだった。 「さよならじゃない。必ずまた会おうね。」セイナはそう言い、時の狭間の扉が開かれる準備をしていた。 最後の別れの瞬間、青い光が彼女を包み込む。セイナの姿は幻想のように消えていった。ランとレンは、その光景を眺めつつ、心の中で彼女の勇気を受け継いだ。 「行こう、レン。私たちの世界に戻って、セイナの想いを胸に。」ランが強く言った。 「うん。俺たちの使命を全うするんだ。」レンはうなずいた。 元の世界に戻ったセイナは、再び自分の生活が待っていることを理解した。しかし、その心の中には、確かに彼らとの絆が残っていた。どんなに遠く離れていても、希望の力は決して失われなかった。 そうして彼女は帰還する。英雄としての名声が、人々の間に広まっていくにつれて、彼女自身がどれほどの人々に愛され、信じられているのかを実感していった。そして、彼女の冒険はまだ終わっていない。数々の困難を乗り越え、新たな仲間たちと共に、彼女は真の英雄へと成長し続けた。 セイナは、さらなる冒険を追い求めて歩き続ける。彼女の心には、いつも人々の想いと希望が宿っていた。どんな世界が待っていても、彼女はその力を失わず、誰かの光となるために。 Fin.