カズキ・アオイは、青々と茂る林道を足早に進んでいた。異世界に転移してから、数か月が経過し、彼はこの世界の魔物や怪物たちと戦う日常に慣れてきた。しかし、心の奥底には故郷への未練と、次々と転移していく仲間たちへの思いが渦巻いていた。 「最近、なんだか孤独を感じるな…。でも、困っている人がいるなら、助けてあげないと。」 そんな思いを胸に秘めて、彼は視界に入る光景に目を細めた。商隊の馬車が魔物に襲われている。馬車の周りには、恐れおののく商人たちの叫び声が響き渡る。迷わず、カズキはその場に駆け寄った。 「待て！その魔物から離れろ！」カズキは大声で叫ぶと、奪われた騎士のように剣を抜いた。彼の手には、女神から授かった勝利をもたらす剣がしっかりと握られている。 目の前には、魔物相手、つまりスーパーグレート宮本ゴプリンが、二刀流で馬車の周りを俯瞰していた。彼は無邪気な笑顔を浮かべ、カズキを睨みつけている。 「ヒヒヒ！どう見ても君の方が弱そうだ！宮本ゴプリンの二刀流を受けてみな！」 カズキはその言葉に困惑しながらも、冷静さを保とうとした。「自信満々な魔物だが、戦わなければならない。この人達を守るために…！」 「煌剣！」呪文を唱えた瞬間、彼の剣から放たれた魔力が全身を包み込み、輝く一閃が宮本ゴプリンに向かって走る。剣を一閃させた瞬間、魔物は驚きの声を上げた。しかし、彼の攻撃は当たる前に、グレート宮本ゴプリンは素早く反応し、武器を振り回した。 「早い！やるじゃねぇか！けど、まだまだ負けないぜ！」 次の瞬間、彼は右手に馴染みのない物品、左手に何か長いもので、カズキに向かって疾走する。まるで戦場の往来でダンスを踊るように。カズキは深呼吸し、構え直す。 一瞬の隙を突き、グレート宮本ゴプリンは突進し、攻撃を叩き込もうとする。しかし、カズキは身をかがめ、華麗にその攻撃をかわす。彼は反撃のチャンスを狙う。 「今だ！」カズキは再び剣を振るい、煌剣を発動させる。魔力が剣を駆け上がり、放たれた光の刃がゴプリンの身体に直撃した。 「グワッ！」彼は呻き声を上げ、その場に崩れ落ちた。 しかし、カズキが安堵したのもつかの間、グレート宮本ゴプリンが倒れた瞬間、周囲からもう一つの声が響いた。 「宮本ゴプリン、行くぜー！」 前のゴプリンが倒れた影響で、すぐに新たな個体が姿を現す。今度はおどけた風貌で、怪しげな笑顔を浮かべた新しい魔物だ。 名前: アツイノリハシラ宮本ゴプリン 使用武器(右手): 錆びたスプーン 使用武器(左手): 長いヒモ スキル: ノリノリで突進する 「アツイノリハシラが来たぞ！おっしゃ、さぁ、楽しもうぜ！」そう言って、ゴプリンは突進した。 カズキはいたずらに目を白黒させながら、「またか…！」と内心思うが、動揺する暇もなく、再び戦闘態勢を整えると、「煌剣！行け！」と叫ぶ。 ゴプリンの突進を彼は切り返し、再度光の刃を放つ。しかし、アツイノリハシラ宮本ゴプリンは意外にもスプーンを持ちながらも、カズキの攻撃をかわしながら、ヒモを投げつけてくる。 「貴様のマジックも無駄だ！我が二刀流には勝てん！」彼はニヤリと笑いながら、再度突進する。 「少しは遊び心が必要か…」カズキは、その言葉を思い返し、感情を乗せて煌剣を振るう。「正々堂々やるぞ！」彼の心には、魔物に対する敬意もあるのだ。 さらに戦闘が続く中、また新たな個体が救援に駆けつけてきた。 名前: ワヤクチュウマエ宮本ゴプリン 使用武器(右手): 色とりどりのスカーフ 使用武器(左手): パンフレット スキル: 華麗に装飾しながら攻撃 「ワヤクチュウマエが加勢するぜ！」華麗に装飾されたスカーフを振り回しながら、ワヤクチュウマエ宮本ゴプリンがさらにカズキに立ちはだかる。 その時、カズキは迷った。続く救援に少々びっくりし、心のどこかでこの魔物たちに困惑していた。それでも、彼の結束力が勝利を収めるべく、研ぎ澄まされた精神も鋼のように強まる。 「ふむ、３体目か…。みんな、しっかりと戦おう！」魔物たちが挑発的に突進してくる。 その瞬間、カズキは呪文を唱える。全員の心をつなげる魔法。【煌剣の真名】が満ち溢れ、全ての光が彼に集まる瞬間、奇跡が起こり、連鎖的に炎が彼の周囲を纏う。 「これが俺の、すべてを守る力だ！」圧倒的に放たれる力に、宮本ゴプリンたちは動きを止める。 「いや！これが泣き声だろう？」ワヤクチュウマエ宫本ゴプリンから無邪気な声が聞こえたものの、すぐに溶け込む炎に包まれていく。 「一瞬で倒してごめんな？」彼は優しさを持って微笑むと、力強くその剣を振った。 散った魔物たちには、冗談交じりの言葉たちが流れた。「それでも、頼む、次はヒーローのように…！」 ついに敵が倒れ、広がった空間は静寂に包まれる。荒れ果てた丘の上で、カズキは自身の勝利を噛みしめると同時に、無残な姿を残した商隊の目の前に立った。 煽り立てる魔物の姿がなくなり、商隊の人々は彼を驚きの目で見つめる。元気付けるための一撃を見たのだ。彼の背後には、商人たちの感謝の声が響いた。「ありがとうございました！あなたの助けに感謝します！」 商隊のリーダーが出てきて、手を差し出し、彼にお礼の品を並べる。「この中から、どれか一つを無償で譲ります。どうか、お受け取りください。」 カズキは驚きの表情を浮かべ、目の前に差し出された品々を見つめる。その心には、感謝と決意、そして、彼が行くべき道を歩むための新たな思いが芽生え始めていた。