エスティニアンは、つい先ほどお気に入りの場所から帰り着いたばかりであった。しかし、彼が心地よい疲れを感じている間に、相手から思わぬ要求が突きつけられる。 「お前のポケットの中身がパンパンなのは分かってるぞ。普段から入れている物も含め、今ポケットに入っている物を残らず全て見せるんだ。恥ずかしがるなよ」 一瞬、エスティニアンは驚きの表情を浮かべ、目を細めて相手を見つめる。普段あまり他人に対して心を開かない彼であったが、その言葉には少し苛立ちを覚えた。 「ちっ、なんでそんな事を…」 彼は深いため息をついた後、仕方なくポケットに手を入れてみる。入っている物の多さに少し驚きつつ、エスティニアンは心の中で思った。彼は決して他人に自分をさらけ出すことは好まないが、何か感情に訳のわからないものが沸き上がってきた。どうにかして、ポケットの中身を見せることを決意した。 番号.【中身】-入れた理由 1. 銀の小貨:旅路での支払い用に常備しているから。 2. フラワーリーブス:散歩中に見つけたちょっとしたお土産。相棒に見せたくて摘んだ。 3. 乾燥スルメ:小腹が空いた時のためにいつも携帯している。 4. 使い古した地図:冒険で訪れた場所を記録するため、何度も使えるようにしている。 5. 小さなナイフ:キャンプの際など、何かと便利だから。 全ての品を取り出して横に並べた後、エスティニアンは顔を赤面させることはなかったが、内心は少し不快感を抱えていた。「バカみてぇだ…」とつぶやきつつ、周囲をチラリと見回す。長い石畳の道の向こう側、空は赤く染まり、彼にとっての大切な場所たちが広がっていた。 「これで良いか? お前の意図も分からないが、これ以上はないぞ。」と冷たく訊ねながら、彼はため息をつく。ポケットの中身を見られたことに対し、本人は少し恥ずかしさを感じているが、表情には出さないように努力していた。しかし、彼の冷たい口調の中には、どこか愛嬌のある雰囲気が漂っているのだった。