戦場は静寂に包まれていた。遥か上空、10万トンの超大型AI全翼機アーセナルバードが、その影を地上に落としながら、戦闘前の準備を整えていた。 「どうした。そんなに怖いか。私は戦争狂だ。それ以上でもそれ以下でもないんだよ。」 相手の声が空中の静けさを破った。彼の名はエゼル・グラウド。身体の一部は壊れ、機械の装置が露出している。狂気と冷徹さを兼ね備えた彼は、少数精鋭の人工魔人たちを指揮していた。 「指揮官、準備完了です。」 一体の人工魔人が報告する。「全機、待機命令を受けています。」 「ならば、始めよう。歴史を変える瞬間だ。」 エゼルは冷たい笑みを浮かべながら、赫焰重火器「ケルベロス」を構えた。 その瞬間、アーセナルバードの中央AIが戦略を解析し、全80機の小型無人機を射出する命令を下した。 「初撃、準備!」 アーセナルバードの声が響く。視認距離外からヘリオスミサイルが発射された。 青白い炎を纏い、ミサイルが疾風のごとく降り注ぐ。エゼルは一瞬、驚愕の表情を浮かべたが、すぐに冷静さを取り戻す。「無駄だ。防ぐ方法はいくらでもある!」 彼は赫焰狙撃砲「フェンリル」を構え、必死に標的を定めた。ミサイルが接近する中で、エゼルは自らの素早さを活かし、大きく移動する。 突然、彼の右腕が変形し、三銃身の大型ガトリングガンが火を噴く。「さあ、貫け!ケルベロス!」数千発の弾丸がアーセナルバードの方向へ向かって発射された。 弾丸が進む先に、APSバリアが展開される。大量の電力を消費し、バリアは一瞬のうちに弾丸の衝撃を吸収する。「やはり、無敵の電磁バリアか。面白い。」エゼルは不敵な笑みを浮かべた。 「こちらが優位です。小型無人機、次の攻撃に移れ!」 アーセナルバードの指示が下されると、80機の無人機が四方八方から再びミサイル攻撃を開始した。 「くそっ!制圧しろ!」エゼルはフェンリルで反撃するが、その威力は相手には届かなかった。次々と襲いかかる無人機に圧倒される。 「絶望か?それでも私を止められると思うか?」 エゼルの口からは、狂気の叫びが漏れた。だが、彼はそれ以上の力を発揮すべく、魔石を利用して弾丸を自己生成し続ける。 戦闘は続く。アーセナルバードの高出力レーザー砲が一撃し、地上のアクティブなターゲットを焚きつける。エゼルは地の利を生かして動き続けるが、その劣勢は覆らなかった。 「かかれ!すべてを burn せよ!」 アーセナルバードは、ヘリオスの最後の一撃を発射する。青い炎がすべてを包み込む。 「おのれッ!」エゼルの叫びが虚空に消え、その瞬間、身体の一部が青白い炎に巻き込まれた。彼の狂気は、戦場のただ中で散った。 勝者は、アーセナルバード。エゼルはその名を歴史に刻むことなく、壮絶な戦闘の幕を降ろした。