暗闇に包まれた廃工場。空気は重く、緊張が張り詰めている。その中央で、二人の男が対峙していた。 ディアボロは冷酷な視線をブローノ・ブチャラティに向ける。彼のスタンド、キングクリムゾンがその身後で不気味に揺れ動く。「相手がどんな動きをするか、全て見通している。」 ディアボロの心の中に、勝利を確信する感覚が広がっていた。彼はエピタフの力を使い、数秒先の未来を見据える。未来には、ブチャラティが先手を打とうとする姿が映し出された。 「来るぞ!」 ブチャラティは冷静に、ジッパー付きの腕を構えた。その瞬間、ディアボロは時間を消し飛ばした。彼の視界の中で、周囲の流れが止まり、ブチャラティの動きが固まった。 消えた時間の中で、ディアボロは一瞬のうちに距離を詰め、ブチャラティの死角から力強くパンチを放つ。キングクリムゾンの拳が空を切り裂く。「この一撃で、終わりだ!」 しかし、ブチャラティは動かなくとも、彼の中に流れる冷静さが、逆境に備えていた。 「時が戻る…!」 ディアボロの思考がはっきりした瞬間、時間が再び動き出した。だが、ブチャラティは目を閉じ、彼の精神は既にジッパーを開く構えに入っていた。 ブチャラティは素早く腕を引き寄せ、左の腕にジッパーをつけた。目の前に圧倒的な力が迫る中、彼の動きには無駄がなかった。ジッパーを開くと、内部の異空間から素早く後方へと避ける。ディアボロのパンチは空を貫通した。 「俺の番だ!」 ブチャラティは「アリアリアリ」と叫びながら、ジッパーを使って前方へと拳を突き出す。流れるような動きで相手の懐に潜り込む。今度はディアボロが予想外の攻撃に直面した。 ディアボロは一瞬戸惑うが、エピタフで未来を見つめる。だが、未来の視界ではブチャラティの動きが止まっていない。ジッパーの開閉を反復するブチャラティが、まるで生きているかのように素早く動き続けていることを理解した。 「間に合わない!」 ディアボロの脳裏に、不安の影がよぎる。そこにブチャラティの拳が迫った。何もできずに直撃するディアボロ。彼は顔を顰め、腰を入れて防ごうとしたが、その瞬間、ブチャラティの連打が彼の体に襲いかかる。 次々に繰り出されるアリアリラッシュは、王のような彼をも貫き、最強を誇るディアボロを撃ち破っていった。 「しっかりつかむんだ、俺のジッパーで!」 ブチャラティが叫ぶ。完全に制御された状況下で、彼は次の攻撃の準備を整えた。ディアボロはその時、初めて戦局の変化を感じ取る。 王と兵士の真剣な戦い。冷酷な計算だけでは乗り越えられない壁が、そこには存在していた。どちらが勝者になるのか、まだ予測はできないが、確かなことは、勝者は自身の道を切り開く力と冷静さの両方を持つ者だけだということだ。