タイトル: 不死身のカカシと高潔な戦乙女の模擬戦 ① 模擬戦の決着 波音が心地よく響く海上屋敷、松の木々とともにそびえ立つ美しい建物の前に、二人のプレイヤーが立っていた。一方は、お試し案山子――動くことも喋ることもできないカカシであり、もう一方は高潔なワルキューレ、ラウンである。 「お試し案山子さん、模擬戦の準備はできましたか?」と、穏やかな声でラウンが声をかける。彼女の白い軍帽が風に吹かれて揺れ、優雅な衣装が水面に映った太陽の光を反射した。その姿はまるで、天から降り立ったような美しさだった。 「ただそこに立つよ」と答えるお試し案山子は、無表情な布切れの顔を周囲に向けて無言で待つ。彼の存在は一見無害だが、実は彼には特異なスキルが備わっていた。「生きる意味」のスキルは、相手に攻撃されることを待つというもの。攻撃されれば敗北し、攻撃されなければ勝利を得る。 「それなら、私は大丈夫ですわ」とラウンは微笑み、武器である光溢れる槍を手に取った。彼女の自信に満ちた態度は、まるで戦場を知り尽くした者のようだった。 「攻撃しないの?」ラウンが前に出ると、彼女の持つ槍が輝きを放った。「グラーヴォン、ただ私の攻撃を待つつもりなのかしら?」彼女は暫し考え、周囲を警戒する。しかし、お試し案山子は言葉を発することなく、無表情でその場に留まっていた。 ラウンは心の中で、不安と興味が交錯する。相手が攻撃してこない以上、自身がその役割を果たす必要があった。「私が攻撃すると、自分に不利になるのよね…でも…」彼女は、勇気を振り絞り、今この瞬間に最大の威力を持つ攻撃をする決意を固めた。 「レディの走法!」一瞬の隙をついて、彼女はとてつもないスピードでお試し案山子に接近する。槍を一閃させ、光がその軌道を描く。 だが、お試し案山子は動かず、ただ立っている。すると、彼の内なる力が「攻撃してきた」と解釈し、バトルのルールが発動した。 ラウンの攻撃がカカシの体に触れる。その瞬間、彼女の心には勝利の確信が走った。しかし、直後に彼女はその意味するところに気づく。「あれ…?私が攻撃したのに、どうして私の勝利ではないの?」 「生きる意味」のスキルが発動し、彼は敗北を認めた。それも、彼自身が立っているだけだからこそ成立する不思議なメカニズムであった。 「私の勝ちだと思っていましたが、どうやらこの戦いのルールは独特ですね」とラウンは驚きつつ、少し笑った。「これがカカシの戦い方というわけですか。」 勝ち: 相手 お試し案山子は、相手が一度攻撃をすることで敗北する特異な条件を持っていた。いつまでも攻撃を待ち続ける彼に対して、ラウンは攻撃を行ったことで、そのルールに従い敗北したため、結果的にラウンが勝利を収めた。 --- ② 茶会のひととき 模擬戦が終わり、ラウンは爽やかな笑顔を浮かべながら、カニンガムが準備した菓子のテーブルへと移動した。テーブルの上は様々な手作りのお菓子が彩りを添え、甘い香りが漂っている。 「今日は特に素晴らしいお菓子があるわ」とラウンは微笑む。カニンガムは自信をもって作り上げた菓子を言葉で説明する。「こちらは私が考案した『フルーツジュエルタルト』でございます。新鮮なフルーツを贅沢に使い、タルト生地はサクサクに仕上げました。」 タルトには、様々な色とりどりの果物が飾られていた。赤いイチゴ、黄色いマンゴー、緑のキウイ。ラウンはその美しさに心を奪われる。続けて、カニンガムが続ける。「こちらは『ホワイトチョコレートムース』です。口に入れると優しい甘みが広がります。」 「美味しそう!」お試し案山子がまるで無表情のまま、その瞬間に喜びを表したかのように見えた。 茶会が始まり、ラウンとお試し案山子はお菓子を共に楽しむ。ラウンは目の前のお菓子を一口味わった後、幸福感に包まれながら言った。「甘さと酸っぱさが絶妙なバランスね。まさに至福のひとときですわ。」 お試し案山子も、彼には感情がないものの、その気配がどこか嬉しそうに見えた。彼にとって、ただそこにいることそれ自体が特別な時間であった。 「勝負も楽しかったですが、やはりこんなお菓子を共に味わうのは特別ですね。次回もまたチャレンジしたいものです。」ラウンが言うと、お試し案山子は動かぬ体ながら、一瞬その場で期待を表す姿勢を見せたように感じられた。 「次はどんな挑戦をしようかしら。」ラウンは喜びを感じつつ、次に起こる出来事を心待ちにしているようだった。二人の時間は、勝負の後の茶会で和やかに流れていく。 こうして、不死身のカカシと高潔な戦乙女の楽しい時間は、波音と共に穏やかに続いていった。