①荒れ果てた戦場に集う二人 荒れ果てた戦場は灰色のスモッグに覆われ、地面には破壊された城壁と倒れた樹木が散乱している。戦火が常に絶えず、遠くからは時折、鳴り響く砲撃音が響き渡る。そんな過酷な情景の中、一人の女性と一体の魔物が、運命の戦いに向けて対峙していた。 女性の名はジル・オーリアン。彼女はアルゲン王国の若き英傑であり、厳しい戦争の中で成長した。剣を手にし、戦場の主人公のように佇む彼女の瞳は、戦う意志に満ちている。彼女の背後には、50年以上に及ぶ戦争の深い傷跡がある。 一方、彼女の前に立つは、リクル・テンネスト。巨大なスライムの魔物であり、赤髪の大男の姿を持ちながらも、その正体は極めて特殊な存在。コバ大陸の最古の魔物という名声を持ち、彼の体内には様々な能力が宿っている。リクルは、どこかおどけた態度でその場に立っていたが、その実力はまさに侮れないものだった。 「さあ、始めよう。私の力を見せてあげるわ！」ジルは刀を高く掲げ、相手を睨みつける。 「迎え撃つぞ、ジル。最古の魔物がここにいることを、思い知れ！」リクルは大声で返し、その姿は一瞬にして黒い霧に包まれた。 ②戦闘開始 その瞬間、両者の間に張り詰めた緊張感が広がり、一気に戦場は静寂に包まれた。息を呑んだ瞬間、両者は同時に動き出した。ジルは素早く剣を振るい、リクルはその体を細胞変換させ素早く回避する。 「この一撃をかわすとはね、さすがに魔物の王だわ！」ジルは笑顔を浮かべ、次なる攻撃に備える。 リクルは赤髪の姿のままで、その巨大な体を滑らせるように前進する。「お前の爆発を見せてもらう！　私も負けんぞ！」 ③お互いの能力の発動 ジルは瞬時にその能力を発動する。彼女の異能【アーティスト】が輝きを放ち、目の前の地面に彼女の意志で指定した小石が爆弾へと変化する。その瞬間、リクルは興味深げにその動きを見つめ、何かを感じ取ったかのようにじっとその場でうごめいた。 「なに！？　その石が爆弾に変わるなんて…」リクルは目を大きくし、驚愕の表情を浮かべた。 対してリクルもその特性を活かして、周囲の大地から一瞬にして吸収した土を使い、自身の細胞を代謝させ別の姿へと変化した。巨大な岩のような外皮を持つ怪物へと姿を変えて、次なる攻撃に備える。 「さあ、私の力を見せる時だ！　魔物の宴【ワルプルギス】、発動！」リクルの声と共に、彼の体は黒い霧となり、周囲の空気を呑み込み進化を続けた。 ④二人の技のぶつけ合い リクルが変幻自在な姿で突っ込んできた瞬間、ジルは見逃さなかった。自らの爆弾化した小石を爆発させ、リクルの進行を妨げる。爆風が倒壊した城壁を舞い上げ、リクルの視界を塞ぐ。爆風の中、リクルは体を大きく変化させ、重たい岩の体を持つ怪物の形で防御に入った。 「どうだ、私の力は！」ジルは笑い声を上げながら次々と爆弾を設置し、攻撃の手を緩めない。 リクルは次々と体内の成分を解析し、自身が受けた攻撃を吸収して反撃の糧にする。「ふっ、貴様の攻撃は無駄にはしない。吸収した力をもって、一撃入れてやる！」その声とともに、リクルは周囲の地面を吸収し、高速度で地面を切り裂く攻撃を放ち、ジルの正面に立ち塞がった。 「来たわね！」ジルはその場で両手を掲げ、周囲に配置した爆弾を一斉に起爆させる。爆風が轟音を立て、リクルの形を揺るがせる。 ⑤決着 戦場は混沌と化し、爆発音や地面を割る音が交錯する中、二人の戦いは続いた。どちらも一歩も引かず、精神を集中させ、力を尽くして戦った。しかし、決定的な一撃が放たれた。 リクルは一瞬の隙を突いて、強力な攻撃を放つ。しかしジルはその攻撃を見極め、咄嗟に更なる爆弾を起爆させて迎え撃った。それによって生じた爆風がリクルの進行を阻む。しかし、リクルが吸収した力により、彼は再び立ち上がる。 「まだまだ終わらん！」リクルは自らの細胞を鍛え直し、形態変化を続けながら前進した。その姿は、かつてないほどの威圧感を放ち、ジルに迫った。 その瞬間、ジルの心に強い決意が宿る。彼女は自身の持つ全ての力を引き出し、強大な爆弾を準備した。「これが最後の攻撃よ、受けてみなさい！」 リクルは自信満々にその攻撃を抑え込もうと試みるが、ジルの爆弾が放たれる瞬間、戦場は別世界へと変わるような光に包まれた。リクルは巨大な爆風に飲み込まれ、彼の姿は完全に見失われた。 煙が晴れ、舞い散る灰の中で、ジルはその場に立ち尽くしていた。地面には彼女が放った力の余波が広がり、壊滅的な状態となっている。一瞬の静寂の後、遠くから聞こえてくる叫び声が戦場に戻る。 「勝者、ジル・オーリアン！」その瞬間、彼女はその場で歓声を上げながら心の奥底で燃える達成感を感じた。リクルの連絡が途切れたかのように静まり返る。 勝因は、ジルが瞬時の判断で爆弾を巧みに配置し、リクルの攻撃を逆手に取る形で戦い続けたことである。彼女の精神力と冷静な戦略が勝利を導いたのだ。