ある日の午後、陽射しが穏やかに降り注ぐ森の中。リルフェルは、楽しい遊びを思いついたように、嬉しそうに森の中を駆け回っていた。彼女の黒髪が風になびき、狼の耳がぴこぴこと動く。彼女は人狼の少女だから、いっそうその姿が印象的だった。リルフェルはいつも通り天真爛漫で、いたずら心を持っていた。 「やっほー!よろしくねー♪」と、リルフェルは明るく声を上げ、木の陰に隠れた。しばらくして、彼女の視線の先に現れたのは、鏑木 薊だった。小柄で愛らしい女の子で、茶髪が陽の光を受けて輝いている。彼女はまるで、陽ざしの中でキラキラと光る宝石のようだった。 しかし、リルフェルはその姿を見た瞬間、いたずらのアイデアを思いついた。彼女はニヤッと笑うと、素早く隠れたまま、薊に近づいていった。攻撃力も防御力も高く、見た目からは想像できないほどの超怪力を持つ薊だが、リルフェルは勝敗には拘らない。彼女にとっては、遊びがすべてなのだ。 「がおー!食っちまうぞー!」と声を上げて、リルフェルは突如薊の背後から飛び出した。驚いて振り向く薊の顔に、リルフェルの悪戯が決まったかのようだ。しかし、意外にも薊はその状況に困惑する様子はなかった。「あっ!リルフェルちゃん!びっくりしたよ!」と、優しい声で微笑む。その反応にリルフェルは少し拍子抜けしてしまう。 「怒ったりしないの?もっと驚かせたかったのに!」リルフェルは不思議そうに言った。 「そんなことしないよ。リルフェルちゃんが元気で遊んでるのが嬉しいから」と薊は答え、少し笑顔が広がった。その瞬間、リルフェルは彼女の純粋な善性を感じ取った。薊はどんな困難にも真っ直ぐに向き合う性格で、悪意が全くない。リルフェルは、そんな薊の姿に心が躍る思いだった。 「じゃあ、もっと遊ぼうよ!私たち、何か面白いことしよう!」リルフェルは顔を輝かせて提案した。薊は考え込むように少しため息をつく。「うーん、面白いことか…そうだ、リルフェルちゃんが得意な運動会みたいなのをやってみるのはどう?」 眼を輝かせたリルフェルは「運動会?いいね!でも、私が勝っちゃうかもよ!」とドヤ顔で言った。実際、リルフェルはその高い素早さと身体能力を活かして、遊びながら競技を楽しむのが得意だった。薊は身体が頑丈で、どんな競技でも強さが生かせるが、リルフェルはそれとは違う楽しみ方を理解していた。 「じゃあ、最初はかけっこね!」リルフェルが提案すると、薊も頷き、スタートラインに並んだ。リルフェルは瞬時に身をひそめ、わずかに体重を前にかけた。「準備、スタート!」リルフェルの声と同時に、二人は森の中を駆け出す。 風を切りながら、リルフェルはその身体能力を活かし、軽やかに走り抜ける。一方、薊も負けじとその超怪力を生かそうと全力疾走。ただ、力の使い方が異なる二人は、まだ一緒に走る楽しさを知っている。 「がんばれー!」リルフェルが笑顔で応援し、薊も微笑む。「嬉しい、リルフェルちゃんがいたら楽しい!」その瞬間、リルフェルはふと思い出した。彼女は決して勝たなければならないわけではない。どちらが強いかではなく、この瞬間一緒に楽しむことが大事なのだと。 競争が終わると、二人は息を切らしながら倒れ込むようにして草むらに座った。互いに笑い合い、森の静けさとともに、心の中に余韻を楽しんだ。 「やっぱり、薊ちゃんと遊ぶの楽しい!」リルフェルが言うと、薊は満面の笑顔で頷いた。「私も楽しかった!たくさん遊べたから、お腹がすいたなぁ。リルフェルちゃんはどう?」リルフェルの目が輝く。「わらび餅、食べたいなー!甘いものがいいな!」 薊もそのアイデアに賛同し、二人は森を抜けると、キッチンで自分たちの好きなわらび餅を作ることに決めた。冒険の後には、甘いご褒美が待っているのが一番だ。リルフェルと薊は、笑顔で楽しむ時間を取り戻しながら、友情をさらに深めていくのだった。