ある静かな午後、モードゥナの石の家の中庭で、アルフィノとアリゼーは互いに向き合っていた。今日は少ししたことのない練習をするということで、皆が見守る中、その目は真剣そのものだった。 「さあ、兄さん。今日は私に勝てる気がする？」アリゼーは挑戦的な笑みを浮かべ、手に持った桃色の細剣を軽く振ってみせる。その姿には、普段の明るさとは異なる、燃えたぎる闘志が見え隠れしていた。 「気負わずに、君のペースでやりなさい。私はただの相手だから。」アルフィノは、その冷静な目で妹を見つめ返す。彼の周囲には、賢具が浮かんでおり、その稼働音が意味するように、準備は整っている。 アリゼーは少しだけ息を整え、大きく一歩踏み出す。その姿勢は、まるで剣が自分の一部であるかのようだった。彼女の瞳には、「私が勝つ！」という決意が宿っていた。 「行くわよ！」アリゼーは声を張って、突進する。瞬時に距離を詰めると、細剣を振り下ろした。アルフィノはその動きを見極め、軽やかに横にかわす。 「速い、だがそれだけでは足りない。」アルフィノは彼女の動きに合わせ、周囲の賢具から一つを選んで魔力を集中させだす。「ドシス！」 あふれ出た魔力が、アリゼーの前に現れる。彼女はすぐに反応し、細剣を地面に突き立て、身を低くする。魔力は彼女の上をかすめ、まるで流れる水のように宙を漂った。 「それが本気なの？」彼女は挑発的な目つきで兄を見上げる。「私だって負けないわ！」そう言うと、アリゼーはその場を飛び退き、距離をとる。彼女は直感的に、急接近しなければならないと感じた。そのまま、アルフィノへと再度突進する。 「来たね、その調子で！」アルフィノは彼女を待ち構えて、賢具が浮き上がる。「トキシコン！」 周囲の魔力が圧縮され、アリゼーの周りに魔法の波動が放たれる。彼女はそれを察知し、直ぐに剣を振りかざして魔力を受け止める。しかし、圧倒的な魔の力に一瞬押し返され、彼女はそのまま地面に膝をついた。 「何て魔法なの、兄さん……！」アリゼーは、驚愕しながらもその感覚を楽しむようにニヤリと笑った。「でも、これで終わりじゃないわよ！」立ち上がると、彼女は「ノーブルインパクト！」と叫ぶ。空に広がる魔力が、彼女の指先から一気に解放され、豪華な光の弾が綺麗に空を切り裂く。 その瞬間、アルフィノはその魔法を身を持って受け止める。「ディアグノシス！」彼は自身にバリアを張りながら、受け入れる構えを見せた。光の弾がバリアに衝突し、爆音と共に周囲に魔法の粒子が舞い散る。 「流石に手加減はできないわね、兄さん！」アリゼーはその隙を逃さず再び前に出る。「それでも、私は負けるつもりはないんだから！」 その言葉に反応するように、アルフィノも意識を高める。冷静な自己分析をもって、彼は新たな戦術を思案した。「そうだ、私ももっと努力しなければならない。」彼の賢具が青く輝き、再び魔力が収束していくのを感じた。 一瞬の静寂を経て、二人の心臓が高鳴る。お互い、すべての力を出し切ろうと決意した。「さあ、行こう！」声を重ね、二人は同時に動き出した。剣と魔法の衝突が響く中、互いへの思いと敬意が交錯し、勝利の行く先を決める戦いが続く。 やがて、どちらが勝つか分からないその戦いは、友情と絆、そして誇り高き兄妹の証を描くものとして続いていった。