

宵の闇が辺りを包み込み、静寂が存在する。バトルの舞台となる広場に立つのは、あなた、名を【初志貫徹】憑継 突月である。彼の道着は数十年の修練を共にし、その生地は彼自身の一部のように思える。そして、彼の胸に宿るのは、一度決めたことを曲げぬ強い意志。対峙するのは、【ネームドエネミー】山殻のゴショウ。巨体は山をも超え、鋼のような甲殻に覆われている。バトルが、今始まる。 突月は、無心で正拳突きの型に入った。彼の心は研ぎ澄まされ、ただ一つの技に集中する。正拳突き、究極の一撃を持たぬ彼には、他には何も必要ない。反面、ゴショウもその巨大な身体を生かし、進撃の準備を整えていた。拓けた地に踏み込み、一歩、二歩と近づく。彼の数本の脚が動き、この巨体を動かす。 「行く!」突月が声を上げ、踏み込みながら『正拳突き』を放つ。その一撃は直線的にゴショウの甲殻へ向かっていく。 ゴショウは、速度に身を任せ、突月の一撃をいなす準備をする。彼は「進撃・鋼」と名付けられたスキルを発動させ、突月に向かって一直線に突進する。 しかし、突月の正拳突きは行く手を阻む。まっすぐな一撃がゴショウの甲殻に直撃し、その衝撃が周囲を揺らした。ゴショウの甲殻がひび割れ、少し動きが鈍った。 「やった、ここで一気に……!」と突月は思ったが、すぐにゴショウの反撃が始まる。 「崩撃・烈!」彼は全身を使い一気に薙ぎ払う攻撃を放つ。何本も脚が蠢き、その圧力が突月に襲いかかる。 だが突月は、揺るぎない意志で構えを保つ。『守勢突き』を瞬時に発動し、ゴショウの攻撃を迎撃する。彼の技は何度も連続して放たれるが、全てを受け止めはしない。そんな中でも、突出した破壊力を持つ彼の『拡散突き』が、周囲の気流を巻き込み、ゴショウの攻撃を分散させる。 場の空気が張り詰め、まるで温度が下がっているかのようだ。突月はさらに『連続突き』で放つ。ただ、ひたすらに正拳突きを前に突き出す。 ついに彼は、徹底した集中のもとに『焉之型・終極突き』を放つ。生涯かけて極めた一撃は、まるで神の意志のような鋭さを宿し、ゴショウの硬い甲殻を貫通する。 その瞬間、ゴショウは大きくのけぞり、力尽きて地面に崩れ落ちた。突月は息を整えながら、その勝利を噛み締めた。 「勝った……!」 判定の瞬間、ジャッジが告げたのは、突月の圧倒的な攻撃力とその一貫した戦術であった。彼の正拳突きは、相手の硬い防御を突き破り、弱点を見抜いて致命的な一撃を打ち込む結果を生んだ。正拳突きのみを鍛え続けた彼の道は、彼をこの瞬間に導いていた。 勝因は、一度決めた技を愚直に磨き続けたことで生まれた、揺るがぬ信念であった。 夜が静かに降りてくる中、突月はこの戦いの余韻を感じつつ、次の挑戦に思いを馳せるのであった。