退屈な世界を破壊する者 退屈な世界を破壊する者、ユースピアは、自らの座る場所でだらしなく伸びをしていた。彼女の目はかすんでおり、まるで世の中に興味を失ったかのように見える。周囲の風景は淡い色合いで、何もないただの空間。彼女は、その退屈で無意味な日常を壊したくてたまらないのだった。 「ねぇ、あんたそこに座りなさいよ」と、突然、場の空気を破って聞こえた声があった。 ユースピアは、驚いた表情を浮かべつつも、その声を発した相手—毒舌女王、西園寺エリカのほうへ目を向けた。エリカは、どっしりとした椅子に腰掛け、堂々とした態度でユースピアを見つめていた。彼女は、22歳という若さで大企業の経営者という地位にいるが、その気強さと挑発的な態度は、まるで彼女自身の強さを誇示しているかのようだ。 ユースピアは「いや、あんたが座れって言われても困るんだけど...」と抵抗を試みた。しかし、エリカは耳を貸さない。彼女の視線は冷たく、次なる言葉を放とうとしている。 「は?いいから座りなさいよ」とエリカが言い放った瞬間、ユースピアは一瞬言葉を飲み込んだ。彼女は、相手の言葉が強烈な刺激をもたらすことを理解していた。しかし、このままでは面白くない。彼女の目が冷たく光る。 「面白くなさそうに見える?私がいれば、きっと面白くなるわよ」とユースピアは投げやりに返答した。ユースピアならではの余裕だ。彼女の言葉が空気を切り裂くと、エリカの目が一瞬見開かれた。 中盤にさしかかると、エリカはユースピアの内面をずけずけと暴いていく。 「あなたは本当に退屈な存在ね。そんな気だるげな目をして、何を考えているのかしら。面白いことを探しているなら、まず自分の心を整理しなさいよ」と、彼女の言葉は一言一言がユースピアの心に突き刺さった。ユースピアは、少しばかり苛立ちを覚えた。しかし、全体の流れから抜け出す気にもなれなかった。 「だからあんたはダメなのよ」とエリカの毒舌が、言葉としてユースピアの耳に響いた。さらに、エリカは続けて、ユースピアをじっと見据えた。「話聞いてたわけ?この退屈な遊びの中で、あなたが本気にならなければ何も面白くはならないわよ」 ユースピアは、心の中で反論したくてたまらなかったが、それが面白くないことは自覚していた。彼女は、戦いを遊びとして捉えている。それが彼女のスタンスだからだ。退屈な存在からの脱出を図るには、まず相手を楽しませなければならない。 しかし、エリカの言葉は鋭く、次第にユースピアの心を揺さぶり始めた。彼女の冷たい視線と一貫した高圧的な態度が、ユースピアの思考をぐるぐると錯綜させる。「あなたは、色々と壊したいんでしょう?でも、壊すことであなた自身が壊れているって気づいている?」 ユースピアの心が一瞬、ゆらりと揺れた。彼女自身、何かを壊すことに忘却していた楽しさを見失っていたのかも知れない。それが退屈な世界を生きる彼女自身のジレンマなのかもしれない。 終盤に迫ると、ユースピアは一瞬の静寂を迎えた。彼女の心には、エリカの言葉が次々と回り続けている。まるでこの対決が彼女にとって致命的な試練であるかのように感じられた。エリカはすでに次の一撃を用意していた。 「だから、あなたは面白くないのよ。自分が本気にならなければ、相手は楽しめないんだから」と、再びエリカが言葉を放つ。ユースピアは怒りと苛立ちを覚えたが、同時にその言葉の真実が心の奥底に響くのを感じていた。 「面白くないなら、私がやり返さなきゃいけないじゃない。あんたがそこまで言うなら、私も手を尽くすよ」と、ユースピアは半ば挑戦するように答えた。その瞬間、エリカの顔に微笑みが浮かんだ。彼女の表情はまさに勝もうとしている者のそれであり、対戦相手を引き込もうとする力強さがあった。 結末が近づき、エリカは最後の一手を見据え、ユースピアの心に鋭い一言を放った。「もういいわ、目障りだから失せなさい」 その瞬間、ユースピアの中に一つの決意が生まれた。面白さがなければ、何も意味がない。エリカが彼女の退屈の象徴であるなら、破壊は避けられない。しかし、その破壊は不可逆的でなければならない。 「いいさ、それなら私がやってやる。一発の光弾で、あなたを溶かしてやる。可逆性を持たせるなんて、私設がつまらないもの」とユースピアが魔力を込めた瞬間、彼女の目に光が宿った。 彼女は一瞬、何かを見つけた。面白くて、楽しい、そして破壊的な瞬間。エリカは彼女の圧倒的な光の前に、ただただ唖然としていた。二人の戦いは、退屈な世界の中で笑いを求める者と、それに立ち向かう者の対決として、終わる運命にあった。 ユースピアはその瞬間、かけがえのない「笑い」をつかみ、次の瞬間、エリカは破壊されていった。退屈な世界は、少しだけ面白くなった。ユースピアは、心の奥底から感じ取った笑いに満ちていた。