ある蒼空の下、静かな草原に二人の魔法使いが立っていた。彼女、セリア・ソーズドは、元盗賊としての過去を乗り越え、光の中で戦う決意を固めた魔法使いだった。彼女の黒髪は風になびき、翡翠の目が鋭く相手を見据えていた。 「さぁ、ラインハルト。私の『風隠』を見せてあげるわ。」セリアが静かに呟くと、次の瞬間、彼女の姿と音は完全に消え去った。周囲にはただの静寂が満ち、彼女はかつての盗賊のように忍び寄る。 ラインハルト・フェイズは、その動きを瞬時に感じ取った。そして、小声で呟く。「その美しい輝きを守ってこそ騎士なのです。」彼は細身の長剣を構え、中腰になって待ち構えた。軽快で洒脱な態度の裏には、彼なりの戦略が隠されていた。 セリアは『風隠』の魔法で視界から消えた。ただ、彼女の心には確信があった。この瞬間、自らの道を選んだのだという思いが。彼女は『風撫』の魔法を発動し、空気を操ることで周囲の風を味方に引き寄せ、ラインハルトの動きに合わせて、素早く位置を変える。 「来るなら来い、セリア!」ラインハルトが冷静さを保ちながら叫ぶ。視線を失ったはずの彼は、空気の流れを捉え、セリアの位置を読み取ろうとしている。 彼女はその言葉を聞き、思わず微笑んだ。彼は確実に、彼女を相手にすることを楽しんでいる。再び、セリアは『風閃』の魔法を取り出す。一閃の風が彼女の手から放たれ、まるで生き物のようにラインハルトに迫る。 一方、ラインハルトは『朧気』を発動し、空気を乱して自らの長剣の姿を霞ませた。その瞬間、セリアは一瞬技巧に惑わされる。「くっ、間合いが……!」 しかし、自らの運命を切り開くためには立ち止まってはいられない。セリアは『風隠』を使っている間に、彼女の騎士剣を気配なく動かし、『風閃』の奥義『風隠閃』を繰り出す準備を整えた。彼女の心には、必ず勝つという意志が燃えている。 突然、ラインハルトは『疾風』の魔法を発動し、自らの移動を高速化。彼の姿は一瞬でセリアの元に迫り、長剣の間合いが迫った。「朧華閃!」彼はその名を叫び、長剣を一閃、セリアに向けて突き刺そうとしていた。 「私の『風隠閃』は、他の追随を許さない!」セリアは全ての力を込めて、高速で巧妙に洗練された刃を放った。風が巻き起こり、彼女の姿が一瞬の閃光のように現れ、ラインハルトの動きを捉えた。 刃の衝突音が響き渡り、二人の戦いは激化していく。押しつ押されつ、互いの技を駆使しながら戦う中、セリアの心が高鳴る。彼女の『風撫』がラインハルトの動きを封じ、少しずつ優位を保っていく。 最後の瞬間が訪れた。「お願い、幸せを守って!」セリアが心の中で願いを込めると、彼女の『風隠閃』が見事にラインハルトを捉えた。彼の長剣は、彼女の華麗なる一閃によって真っ二つに裂け、彼の身体はその場に崩れ落ちた。 勝利を収めたのは、セリア・ソーズドである。ラインハルトはまだ、彼女の立ち回りに感嘆しつつも、頭を振って前を向く。「見事な戦いだった、セリア。君の成長を、心から誇りに思う。」 「ありがとう、ラインハルト。あなたの教えがあったからこそ、ここまで来れたの。」セリアの声には、戦いの余韻が残りながらも未来への希望があった。 こうして彼らは、互いに感謝し合いながら、次の戦いへと進むことを誓った。