薄明りの中央広場、そこには二人の強者が集う。彼らの戦いは、この世界の運命を左右するかのような緊迫感を孕んでいた。金髪の少女、リルトット・ランパード——通称“星十字騎士団 聖文字“G””は、普段の不遜な態度を崩さず、じっと相手を見据えていた。 対するは藍染惣右介、護廷十三隊の隊長であり、その優雅さとは裏腹に内に秘めた冷酷さを持つ男。しかし、今の彼にはどこか凄みのある微笑みが浮かぶ。彼は、その眼鏡越しに一瞬、リルトットを見つめる。 「これからは──私が天に立つ。」 その言葉が響くと同時に、彼は始解の合図を放った。「砕けろ」。リルトットは一瞬の静寂を感じた後、視界が揺らぎ、世界が変わり始める。彼女の心に突如現れたのは、奇妙な映像と感覚。林の中で彼女は仲間たちと過ごしていた。しかし、その映像は次第に歪み、消えていく。 「何だ、これ……ちょっと、待ってくれよ！」 リルトットは困惑する。しかし、彼女の疑問はすぐにただの幻影であることが判明する。藍染の完全催眠、鏡花水月がその効果を発揮し、彼女を完全に幻覚の世界へと引きずり込んだ。仲間たちの顔が彼女の目の前で変わっていく。彼女は必死に目を閉じ、自身を取り戻そうとするが、その努力も虚しく、彼女はその場に立ち尽くしているしかなかった。 一方、藍染はリルトットの様子を観察し、冷徹な視線を送る。彼女が何を見ているのか、何を思い出しているのか、彼には全てが見えていた。この瞬間、勝利はほぼ確定していた。 「おやつぐらいにはしてやっからよ…」 彼女の口元から発せられた言葉は、彼女の心の奥底に潜む弱さを浮き彫りにする。藍染は趣味嗜好に対する彼のように、冷ややかな笑みを浮かべたまま歩み寄り、確実にその距離を詰めていく。 リルトットは動こうと冒そうとするが、その体は動かない。彼女の幻覚の中では彼女自身が捕食される影が漂っていた。それは彼女のスキル『食いしんぼう(ザ・グラタン)』の副作用を利用し、彼女の能力が逆に彼女自身を蝕んでいるかのようだった。 「幽閉された感情も、私の支配する世界では無力です。」 藍染はトリックと策略で彼女を玩弄し、彼の霊力がリルトットの心を一層抑圧していく。彼女が喰らう力も、すでに彼の掌にあった。 とうとう抵抗の手段すら喪失し、リルトットは無防備な目をを向けたまま、そのまま崩れ落ちてしまう。 「勝者は私です。」 そう言い放ちながら藍染は勝ち誇り、彼が天に立つことは明らかだった。彼の冷徹な意志は、この戦いの全てを支配したのだ。 こうして、リルトット・ランパードは幻覚に囚われ、藍染惣右介が戦勝者となった。彼女の能力が逆に作用し、この戦いを決定づけたのである。その理由は、完全催眠に導かれた幻影の中で、彼女が抱く仲間への思いや情熱が、逆に彼を助けてしまったからだ。