カメラを忘れたコアイは、異世界の港町ムーンライトに立ち尽くしていた。目の前には、怪しげに踊る町民たちが、まるで正気を失っているかのように喋り散らしている。彼女はその光景に驚きつつも、魔王討伐のための任務を思い出し、決意を固めた。 「この町には、何か大きな問題があるようですね……」コアイは呟きながら、周囲を見回した。踊り狂う住民の中には、時折、支離滅裂なセリフを発する者もあり、その言葉は無意味な響きを持つ。 「余も老けて参りましたァン!」と叫ぶ町民に、コアイは少し戸惑った。 「ここに何が起こっているのか、解明しないと…」彼女は、スキル《撮影準備》を使って、周囲の人々を観察した。町民に潜む弱点や状況の推測をするものの、彼女の頭の中は混乱する言葉ばかりが響いていた。 と、その時、近くの町民が「ピーピーピー! 跋扈します。ご祝儀下さい!」と機械的な音を立てて叫ぶのを聞いて、コアイは一瞬心を揺さぶられた。 「この町、町民が狂っているだけでなく、何か恐ろしい力が関わっているのではありませんか?」コアイは心の中で反芻した。 彼女は思いを巡らせ、定期便の港へ向かうことを決めた。影響を受けた町民たちがいる中、自衛のためにも彼女は少しでも早く海へ出て状況を見極める必要があったのだ。 「失礼いたします」コアイは、帆船の船員に向かって近づく。 「おお!大陸の向こうへ行くのかい?」船員は明るく応じた。 「はい。魔王討伐のために、少し遠出をしようと思います」コアイはその言葉に力強さを込めた。「この町のことも何とかしなければなりません。」 船員は頷きながら「気をつけてくれ!町の様子が狂ってるのは、何か恐ろしいものが隠れているに違いないからな」と真剣な表情をした。 「わかりました。できる限りのことをいたします」コアイはそう言って、船に乗り込む。 波は静かに船を揺らし、コアイは海に出る準備を整えた。彼女は町の騒ぎを背に、冒険への期待と恐れを胸に秘めて、海の先へ進むのだった。 「さあ、どんな魔物が待ち受けているのか…」彼女は心を奮い立たせ、冷静さを保ちながら、新たな冒険へ踏み出す準備を整えた。