魔王討伐の旅を続ける旅人、シノヨは、緑豊かな森を抜け、小道を進んでいた。彼女の心は温かな気持ちで満たされていたが、旅の途中で何か特別な出会いがあることを期待していた。すると、突然視界の隅に不気味な影が映る。そこには、白と金色の羽毛を持つハト頭の天使、セラフィック鳩臣蔵が佇んでいた。 「何か用かしら?」と、シノヨはまったりとした口調で尋ねる。だが、返ってくるのはしわがれた鳩の鳴き声「ポッポー。」それだけ。 シノヨは不思議に思いながらもこの天使と向き合った。彼女の目の前で、相手は可愛らしい動きで近づいてくる。視覚的には可愛い相手だが、彼女は何か特別な意図があるような気配を感じていた。 「それなら、バトルでもしようかしら。」と言って微笑むシノヨ。彼女はすぐに式神を召喚し、戦闘の準備を整えた。式神たちは彼女の周りに集まり、彼女を護るように並んだ。 一方、相手は受けて立つ態勢を整えたものの、彼の戦闘方法はかなりユニークだった。「ポッポー。」ただそれだけの言葉とともに、相手は異なったアクションを起こした。 その瞬間、シノヨの目の前に現れると、相手は彼女の頭の上にハトの被り物を一瞬で被せた。 「え?」と驚くシノヨ。その瞬間、彼女は異空間に引き込まれてしまう。彼女の式神たちは整列していたが、彼らもまた異空間から消え去ってしまった。相手は「ポッポー」と笑いながらその動きに満足している。 シノヨの意識が戻ったとき、彼女は見知らぬ世界にいた。周囲には、色とりどりのハトが飛び交い、住民は全てハト頭を持つ奇妙な姿だった。彼女は完全に魔界のハト集落に転送されていたのだ。 「こんなところに…、何故私が…。」とつぶやくシノヨは、心の中で何が起こったのか理解しきれなかった。周囲の住人たちはシノヨをじっと見つめ、「ポッポー」と鳴き続ける。彼女は困惑しつつも、ハト集落の奇妙な雰囲気に飲まれそうになった。 数日後、運良くシノヨは集落を出る方法を見つけ、ようやく元の世界に戻った。だが、彼女の心に引っかかっていたのは、あのセラフィック鳩臣蔵だった。 旅の途中、彼女は異様な憧れを抱きながら、遠くに見える魔王城の影に向かって進んでいた。薄暗い空に聳えるその城は、まるで彼女を迎えるかのように、凛と立っていた。彼女は決意を新たにし、強く歩き出した。 「次こそ、絶対に魔王を倒すわ!」と、彼女は自らに誓いを立て、新たな旅を始めた。信じられない光景とともに繰り広げられる冒険が、彼女に待っているのだ。