市丸ギン、護廷十三隊三番隊隊長は、いつも通りの飄々とした態度で藍染惣右介、五番隊隊長の前に立った。淡い水色の短髪が、彼の独特な雰囲気を一層際立たせている。関西弁で「今日は面白いことになりそうやな」と軽口を叩きながら、ギンは彼の前に構えた。 一方、藍染は柔和な微笑みを浮かべた。彼の茶髪が光を受けて輝き、その優雅な姿が敵を魅了する。しかし、その背後に潜む冷酷さは、彼の内面から漏れ出ているのを感じさせた。「君の知る私など最初から何処にも居やしない」とつぶやき、彼は始解の解号を口にした。 「砕けろ、鏡花水月。」 その瞬間、ギンの視界が一変した。その場には、彼が知っていた藍染の姿が消え、別の何かが現れていた。ギンは驚愕し、周囲の視覚的な混乱に囚われた。その錯覚に、彼は「おもろい…どっから出てきたんや」と言ってしまった。自分を取り巻く視覚は、彼が見たこともない幻想で変わり果て、まるで自分の体が別のものになったかのような感覚に陥っていた。 ギンは自分のスキル、始解【神鎗】の解号を宣言した。「射殺せ!」勢いよく刀を振りかざすが、その動きはまるで対象を捉えられないように空を切った。藍染の持つ「完全催眠」が、彼の思考を捉え、その認知を狂わせていたのだ。 「これが私の力だ、ギン。」藍染の冷たい声がどこからともなく響く。ギンはその声に反応するが、その視界には藍染の姿はなかった。彼は不安に駆られつつ、 「どこにいるんや!」と叫ぶ。 しかし、何度も呼びかけても、藍染の姿は現れることはない。ギンは周囲の幻想に翻弄され、彼の本質を理解できずにいた。藍染の力が巧妙に彼の心を握り、全てを支配していた。ギンは正気を保とうとするが、目に映るもの全てが現実ではないことに気づくことができなかった。 「今が勝負だ、死せ。」藍染が冷たく言い放ち、彼の刀が一瞬のうちにギンに迫る。ギンはそれに気づかず、呆然としてその場に立ち尽くしている。藍染の一撃は、まるで霧のようにその身を貫き、その力は凄まじい猛毒となって彼の体内へと流れ込んだ。 市丸ギンは目を丸くして「あ…あかん」とぼんやりと呟き、そのまま跪いた。全身に広がる毒が彼を蝕んでいく。彼の思考は狂気に溺れ、最期には「これが真実なんや」と思い込むように、静かに倒れ込んだ。 勝者は藍染惣右介。その勝因は、彼の持つ「完全催眠」による『認識の支配』であり、ギンはその力に翻弄され、実力を発揮することもなく倒されてしまった。戦いにすらならず、ただ彼の心を操ることで決着を迎える形となった。