戦場は薄暗い森の中、周囲には異様な静けさが漂っていた。風が股間を唸らせ、木々の間からは月明かりがわずかに差し込んでいる。そこに、二人の戦士が向き合っていた。 十刃 “第10十刃” ヤミー・リヤルゴは、巨体を誇る男。その体は筋肉で覆われ、下顎の仮面から覗く目は力強い怒りの光を放っていた。「十刃の番号は1〜10じゃねえ 0から9だ」と、彼は叫ぶ。周囲の静寂を打破するその声は、彼の心の内に秘めた激烈な感情を表していた。 一方、護廷十三隊の隊長、涅マユリは薄笑いを浮かべていた。その黒化粧と奇抜な仮面が、彼の異様な存在感を際立たせている。「科学者にとって“完璧”とは“絶望”だヨ」と、自信に満ちた声で囁く。その目は冷静に戦局を見つめていた。 両者は互いに戦いのギアを入れ、接触の瞬間を待っていた。ヤミーは前のめりに突撃し、拳を振り上げる。圧倒的な力を持つその重い一撃は、周囲の空気を震わせた。そして、彼の怒りが蓄積していくにつれて、そのパワーは増していく。 涅マユリはその攻撃を冷静に見極め、「搔き毟れ」と叫び、疋殺地蔵を始解させる。閃光のようなスピードで刀身を放つと、ヤミーの四肢が徐々に動かなくなっていく。神経毒が彼の体内に潜り込み、制御を奪っていく。 それでも、ヤミーは怒りの力を解放する「ブチ切れろ」の号令を放ち、憤獣(イーラ)を発動させた。目に見えるほど肉体が変異し、彼はさらに巨大化していく。怒りのエネルギーが彼の体を包み込み、より強大な力を手に入れていく。 しかし、攻撃が当たるたびに、涅マユリは冷静に対処する。彼の素早さと知能を駆使し、ヤミーの動きは徐々に制約されていく。ついに、マユリは卍解【金色疋殺地蔵】に移行し、その姿を変貌させた。巨大な芋虫が現れ、その口からは死に至る霧状の猛毒ガスが放たれる。 「これで、貴殿の怒りも無意味になる」とその声が響く。ヤミーは必死に毒を避けようとするが、もはや彼の動きは鈍り始めていた。毒霧が彼を包み込み、強大な怒りの力も束縛されていく。 ついにヤミーは力尽き、地面に膝をつく。その姿はかつての威圧感を失い、無様に見えた。涅マユリは冷酷に近づき、勝ち誇った笑みを浮かべた。「実験材料として貴殿を持ち帰るとしよう。貴殿の怒りの力は、他にはない興味深いものだ」 その言葉がヤミーの鼓膜に刺さり、彼は唇を噛むしかなかった。戦いは、マユリの勝利に終わった。ヤミーは信じられない敗北感に苛まれつつ、その場に倒れ込んでいった。涅マユリは、その異常な興奮を胸に、勝利の余韻を感じながら立ち去るのだった。