時刻は深夜、星空が輝く王都の上空に浮かぶ巨大魔法陣。その中心には、あなた、そして相手と彼の妹ランが存在した。周囲は静寂に包まれ、時が止まったような感覚が漂う。 「僕を許してくれ、ラン…」相手は涙を流しながら、妹の肩をつかみ、強く抱きしめた。彼の声は震えていて、心の奥底からの苦悩が伝わってくる。 「お兄ちゃん、もう何も言わないで。私、ずっとお兄ちゃんを信じてたよ」ランは穏やかな笑顔を浮かべながら、相手の背中をさすった。その様子を、あなたは静かに見守っていた。 「相手、君の罪や過ちを悔いることは大切だ。但し、君は世界の敵ではない。君が本来持っていた勇気を取り戻せば、再び立ち上がることができる」とあなたは毅然とした態度で言った。彼の声には、優しさと決意が混ざっていた。 相手はあなたの言葉に耳を傾けながら、自身の過去を振り返った。先代魔王ユダの奸計によって、妹と共に絶望の中に陥れられた運命は、彼に選択肢もなく、ただ破壊をもたらす存在となった。しかし、その彼が、あなたの言葉によって救われる可能性を感じた。 「本当に…僕が生きているなら、何度でもやり直せるのか？」相手の眼には希望の光が宿り始めた。 「もちろん。僕は君の話を世界に伝えるつもりだ。君を悪と決めつけている者達に、本当の君を理解させる」とあなたは言った。彼の存在が、相手の心の支えとなった。 「ありがとう、あなた…ありがとう、ラン。僕はもう一度、希望を持って生きてみるよ。」相手は立ち上がり、力強く胸を張った。その姿は、かつての勇者としての彼の面影が戻ってきたように見えた。 しかし、その瞬間、空が急にざわめき始めた。暗雲が立ち込め、星たちが光を失っていく。 「何だ、これは…？」あなたが驚愕の表情を浮かべた頃、巨大な彗星が姿を現した。その尾を引く彗星は、まるで相手の内に秘めていた憎悪が具現化したかのように、恐ろしい存在感を放っていた。 「嘘だろ…これが…僕の憎悪…？」相手は恐れに震えながら、彗星を見上げた。 「行け！この世界を守れ！」あなたが叫んだが、彗星の進行を止めることはできなかった。 「お兄ちゃん！逃げて！」ランが悲鳴を上げるが、その声はむなしく響くだけだった。 彗星は王都を直撃せんと迫り、あなた、相手、そしてランはその破滅的状況に立ち尽くすことしかできなかった。大地が揺れ、光が消えていく中で、相手は心の底から叫んだ。 「こんなことになるなんて…！」絶望的な叫びが、夜空に響き渡る。 そうして、全てを破壊する力を持つ大彗星は、彼らの未来を奪っていった。