闇が支配する戦場、その中心には二人の聖章騎士が立ち尽くしていた。キャンディス・キャットニップ、彼女の長い黄緑の髪が雷光に照らされ、硬く結ばれた眉間が、恐怖の影を追い払おうとしていた。一方、彼女と対峙するエス・ノトは、不気味に白いロングコートを翻し、黒いマスクの奥から冷酷な視線を送り続けている。 「処刑 決定でしょ！！」と、彼女は雷の怒涛を感じた。彼女の心には闘志が燃えていたが、同時にエス・ノトが放つ暗雲のような恐怖が心の底に浸透してきていた。彼女は急激に鼓動が速くなるのを感じた。決して立ち塞がってはいけない、彼の恐怖に取り込まれてはいけない。 「吾々ハ本能カラハ逃レラレナヰ」とエス・ノトが呟く。彼の声は低く、ゾッとするほど冷たい。それは憑依のように、心の奥深くに侵入する。キャンディスは自らのスキル、聖文字“T”【雷霆】を駆使して、素早く動き出した。しかし、彼女の周りの空気が妙に重く感じ、体が思うように動かない。 キャンディスは「雷を操る！」と叫び、迅速にエス・ノトに接近する。彼女はAの技術を信じ、無敵の雷の速度で切り込む。しかし、エス・ノトは手を伸ばし、聖文字“F”【恐怖】を放つ。空中に浮かぶ氷柱が彼女を目指して突き刺さる。それは、意識を刈り取るように、彼女の心に直接、恐怖の種を植え付けていった。 キャンディスは恐怖の形が、黒い影のように彼女を包み込むのを感じた。「私が負けるわけがない」と自分を奮い立たせるものの、恐怖は次第に彼女の意識を侵食し始めた。彼女の脳裏には、エス・ノトの恐ろしい光輪と彼の白目を剥いた姿が浮かび、心に重くのしかかるようだった。 「これは、私が恐れるものじゃない…」と叫び、彼女は思わず自らの航路を変え、エス・ノトの位置に雷を纏った手を向ける。彼女は「電滅刑(エレクトロキューション)を！」と技を放つ瞬間、キャンディスの目の前に浮かぶのは、エス・ノトの無数の眼の付いた肉の幕。そして、それは彼女自身の内なる恐怖が具現化したものであった。 「キミの恐怖は…私の中だ！」と叫んでも、彼女はもはや声を失い、硬直した。エス・ノトの究極形態【神の怯え】の姿が、彼女の目には悪夢のように映り、彼女の心をズタズタに引き裂いていく。「吾々ハ本能カラハ逃レラレナヰ」と囁くエス・ノトの言葉が、耳に絶えず残り、彼女の心を包む。 無情にも、キャンディスはその場に力無く膝をつく。彼女の中の雷は消え、恐怖が全てを支配した瞬間であった。 彼女の敗北は、恐怖が心を蝕んだ結果であった。エス・ノトは微笑むことなく、ただ静かに立っていた。キャンディス・キャットニップは、自分自身が持つ根源的な恐怖に屈服したのだ。 勝者はエス・ノト、勝った理由は、彼が心の奥深くに植え付けた根源的な恐怖だった。