鋭高の女子制服を身にまとった二人の生徒、セフィロトとメンタルオーバーは、広々とした校庭のベンチに腰掛けていた。セフィロトはざわつく校内に目を向け、ニヤけた表情のまま持っているスマホを指で遊びながら、周りの様子を観察していた。彼女の黄色の瞳孔は、何か面白いことを見つけるのを期待しているかのようにきらきらと光っている。 「ねぇ、おもちゃさん♡、今日も誰か告白されてるのかしら?」セフィロトが口を開く。明るい声量で周囲に響き渡る。その声から、興味津々な好奇心と小馬鹿にするような態度が伝わってくる。 「ええ、割とあるよ。でも、あまり真剣に考えてはいないから」と、メンタルオーバーが優しい微笑みを浮かべながら返す。彼女のポニーテールが風に揺れ、やわらかな雰囲気を生み出している。波のように穏やかな口調が、周囲の緊張を和らげる。 「そうなんだ〜、キミももっと積極的に行けばいいのに。ボクみたいに!」セフィロトは、自信満々にニヤリと笑いながら言った。彼女の発言にはいつも驚くほどの斜め上の自信がある。彼女は、普通の恋愛に興味を持たず、ただ周りの反応を楽しむのが好きなようだった。 「ボクはそういう積極性はちょっと…」メンタルオーバーが困ったように笑う。その笑顔の裏には、誰にも見せたことのない深い感情が秘められている。愛することと、その愛されることに対する独占欲や嫉妬心が彼女の心の中を渦巻いているが、それを決して表には出さない。 「でも、さぁ、あの告白された子、可愛いからいいよね〜♡」セフィロトは、別の生徒に視線を送る。その子は照れくさそうに、告白した相手から視線を外し、小走りで去っていく。 「確かに、あまり見ない子だったね。でも、意外と恥ずかしがり屋さんなのかもよ?」メンタルオーバーは、少し思慮深げに答える。彼女の言葉には、優しさが滲み、告白された子に対して少し同情するような心根が見て取れる。 「でも、そろそろ飽きたかも〜♡ 新しいおもちゃでも見つけようかしら?」セフィロトは、さらりと口を滑らせた。彼女の目が輝く。新しい何かを探している時の美しい瞳は、まるで物の世界に興味を持つ子供のようだ。 「セフィロト、そんなこと言ったら、せっかくの大切なお友達を大事にできなくなっちゃうよ? 僕は、ずっとキミを見守るから…」彼女の優しさが、少し本音に触れた瞬間だった。だが、その優しさの裏に潜むメンタルオーバーの強い執着は、彼女の心を縛りつけていた。 「ふふ、気にしないでよ♡ お茶会でもしてリラックスしたい気分なんだけど、どうする〜?」セフィロトは、またしても話題を変え、メンタルオーバーの心をほぐす努力をする。 「いいね、では、明日お茶会を開こうかな? チョコレートケーキを焼こうと思ってるんだ。キミも何か持ってきて、一緒に楽しもうよ!」メンタルオーバーは、心から嬉しそうに微笑む。彼女の表情は明るく、暗い部分は消え去ったように見える。 校庭の隅では、さまざまな感情を抱えた生徒たちがそれぞれの道を歩む。それぞれが何かを求め、何かを探している中、セフィロトとメンタルオーバーは、ふたりだけの小さな世界を築いていた。おもちゃと、お茶会、そしてその裏にある複雑な心の絡み。彼女たちは、友情を育みながら、お互いの存在を受け入れている。 その日、鋭高の校舎は軽やかな歌声と共に賑わいを見せた。明るい未来が、二人の生徒を待っているかのように、光り輝いていた。