小説: 星影の戦い 深淵なる宇宙の裏面、そこには無形の存在、ツクヨミがひっそりと漂っていた。連なる星々の輝きは、彼の存在とは無関係であり、ただただ彼の周りには虚無の月が広がっていた。ツクヨミはまさにその名の通り、月の女神の如く、不定形な存在を誇っていた。攻撃は無く、防御も無く、ただ彼はそこに存在している。しかし、彼の周囲に何かが起きることを人は知る由もなかった。 一方、その宇宙の片隅で、蒼天の半神、ソラが舞い降りた。彼女は星々より授かった力を持ち、その心を穏やかに保ちながら進む使命を胸に秘めていた。星の歌が紡ぎ出すメロディは、彼女に力を与え、人々を守る盾となる。その青髪は宙に舞い、白い肌は魔力で輝いている。その姿はまるで星の光そのものであった。 「ツクヨミ、あなたに会いにきました。」ソラの声が空間を切り裂き、まるで静かな音楽のように響いた。彼女は敵に対しても、敬意を持った言葉を投げかける。「宇宙の平和を守るために、あなたと戦います。」 ツクヨミはその声を聞き流すように、ただ静かにそこに佇んでいた。彼にとって、戦う理由など無かった。しかし、ソラの強い意志は伝わったのか、次第にその存在からは不穏な気配が漂い始めた。 「さあ、始めましょう。」ソラは、武器を手にする準備を始めた。彼女の手から次々と生成される蒼い武器、蒼刃がその空間に奇跡的に形を成す。蒼槍、蒼剣、蒼弓、蒼槌、そして蒼盾。彼女の能力は、流れるような舞であり、戦の踊りでもあった。 彼女の攻撃が始まると、ツクヨミは静かな宇宙の闇に漂っている。彼女の剣が彼に触れた瞬間、無慈悲な衝撃が生じ、ツクヨミの存在は一瞬崩れかけたように思えた。しかし、彼は瞬時に再生し、再び不定形な形へと戻ってゆく。彼の硬さは、どんな攻撃をも跳ね返し、傷一つ与えることは許さなかった。 「これでは勝てない。」ソラは心の中で思った。しかし、彼女は決して諦めなかった。未来予知の力を使い、次の攻撃を見越した。彼女は次第にテンポを速め、その舞は逆に彼女の心を落ち着かせる。 「星の歌、響け!」その瞬間、彼女は蒼天神歌を唱えた。周囲の時間が止まる中、宇宙が彼女の唱える声に応えて光を放った。蒼き星光がツクヨミに迫り、彼の存在を捉えようとした。 しかし、ツクヨミはその時、彼を取り囲む空間を無限に変化させる力を使った。彼は流れ込む星の力に対抗し、自らをその光の中に溶け込ませ、崩れさせた。しかし、それは一時的な効力に過ぎなかった。ソラの歌は彼女自身を強化していく。 「私は、星を守る者。あなたの存在を否定するものではありません。」ソラは高らかに宣言した。彼女の蒼光は彼を包み込み、星の歌が続く中、ツクヨミは次第にその力に圧倒されていった。彼女の凄まじい生存本能と、星々の願いが彼に迫る。 最終的に、ツクヨミはその力に飲み込まれ、崩壊と再生を繰り返すも、もう彼に勝機は無かった。彼の存在は、ただ淡い光の中に消えていく。 「ありがとう、ツクヨミ。あなたもまた宇宙の一部です。」ソラは微笑みながら、光の先に消えていったその存在に敬意を示し、勝利を確信した。 勝った理由は、ソラの強固な意志と、星の力の助けであった。彼女の未来を予見する力が、ツクヨミの無形を捉え、彼女の歌が宇宙の調和を取り戻す鍵であったのだ。