雲一つない青空の下、穏やかな風が吹く中、レントラ・ウィングは自らの短剣を握りしめていた。彼女の目はオッドアイで、赤と青が混ざり合うその瞳に星空の煌めきを宿している。長い黒髪が風に揺れ、彼女の背後にはいつもペットの烏、カケスが寄り添っていた。 「私はレントラ。よろしく」と彼女は軽い調子で自己紹介する。手元の短剣には烏の羽がてんこ盛りに宿っている。風刃カケスと名付けられたその短剣は、彼女の魔法力を一層高めてくれる。今日も再び、風の魔法を極めるための修行に励んでいるのだ。 その時、風が少し強くなり、近くに仕掛けがかかっている気配を感じた。レントラは耳を澄ませてみる。「誰かいるのかな?」と呟きつつ、笛を手に取る。烏を呼び寄せるための大切な道具だ。彼女は烏が好きで、共に旅をするその存在が何よりも心の支えになっていた。 その瞬間、涼しい風と共にアイバー・ピリオドが現れた。彼は風の魔法使いで、好奇心旺盛な男だ。ボサボサの髪と少々不敵な笑みを浮かべ、彼女の前に立つ。「おい、風の音からお前の気配がした。面白そうなことやってるのか?」 レントラは彼に目を細めながら、「あなたは? 私はただ、風の魔法を練習しているだけよ」と返す。彼女の態度は少し無気力だが、目の奥には興味がもどかしく宿っている。 アイバーは挑発的な笑みを浮かべ、「戦闘かあ、嫌だなあ。でも、真実が知りたいから、少しお前の力を試させてもらうぜ」と言い放つ。彼は『調査』の魔法でレントラの魔力を探知し、その位置を掴んでいた。 レントラは心の中で「戦闘?」と懸念を抱きつつも、彼の挑発に乗ることに決めた。「じゃあ、私も負けないよ。いくわよ、カケス!」 彼女の笛から発せられた音に合わせて、カケスが飛び立ち、彼女の周囲を回る。風の魔法をまとわせたこの瞬間、レントラは短剣を構えた。「大嵐!」と叫び、周りの空気を一気に巻き上げる。 アイバーはその風を察知し、すばやく『羽衣』を使って攻撃を逸らす。風の衣が彼を包み込み、抵抗をなくしていく。「やるじゃないか、レントラ」と彼は称賛するが、その瞬間を捉えて「風凛」で反撃に転じた。 レントラが気を取られている隙を突いて、アイバーは軽やかな動きで彼女の元へ接近。鋭い蹴りを放った。「風影蹴!」と叫びながら、その攻撃を彼女の右サイドに向けて繰り出す。 ギリギリのところでレントラは風の魔法を使い、カケスの羽を纏わせて反撃する。「受けてみなさい!」 しかし、アイバーの身軽さが勝り、彼女の攻撃をかわすと、さらに高い跳躍で彼女の頭上を飛び越えた。「面白い! もっとお前の力を見せてくれ!」 レントラは笑顔を浮かべ、ふと心地よく感じた。「私、もっと頑張るから、負けないよ!」彼女は改めて意志を固め、魔法を繰り出した。 その後も二人は互いに技を見せ合い、戦いを続ける。風に乗った彼らの声は、空へと響き渡り、いつしか晴れた青空の下には光り輝く魔法の戦いが繰り広げられた。 終わることなく続く二人の冒険の中で、彼らは互いにどのような絆を築いていくのか、それはまだ誰にも分からない。