魔界の深淵、暗闇に覆われたその場所では、常に不気味な静寂が漂っていた。しかし、その静けさを打ち破るかのように、二人の魔族が対峙していた。片や冷酷な指揮官「ラグナ•アフマン」、そして片や毒の使い手「カナナサ•ペンドリュフ」。どちらも魔界で名を馳せる存在であったが、その性質や理念は全く異なっていた。 ラグナは自らの後ろに広がる冷気に注意を向けつつ、カナナをじっと見つめ合った。圧倒的な威圧感を放つラグナの前に立たされ、カナナは思わず身を乗り出した。「なぁ、ラグナ。自分が如何に強いか見せつけてやろうてわけだろ？」という悪趣味な笑みを浮かべる。 「…甘えは許さん。」ラグナの声は低く、まるで氷のように冷たい響きを持っていた。この男には同情も寛容さも欠けている。 カナナは心の中で呟いた。「やっぱり面白くないやつだなぁ、お前は。」彼は両手に毒を纏わせ、その表情には遊び心が溢れていた。「遊び相手としてはつまらないけれど、まいっか。ちょっと毒でもまぶしてやるよ！」 言いながら、カナナは一瞬の隙を突き、毒を纏った右手を伸ばしてラグナの腕を触れた。「毒手！」その瞬間、ラグナは微動だにしなかった。しかし、その表情にはわずかな変化があった。「…お前の毒、効かん。」 カナナは目を大きく見開き驚愕した。自らの力が全く通用しない相手が目の前にいることに愕然としていた。「そんな…どういうことだよ！」 「お前の存在は、弱き者の甘えの象徴だ。私にはその甘さは必要ない。」ラグナはゆっくりと周囲の空気を変え、大気に冷気を漂わせ始めた。「刻雹の時！」彼の指先から、凍るような冷気が広がり、カナナを囲むように迫ってきた。 「くっ…」カナナは体をひねろうとしたが、冷気はすぐに彼を捉え、凍らせる。彼の自由が束縛されることを感じ、カナナは毒の魔法を駆使することができなかった。「お前、やるじゃねぇか…」 が、カナナは諦めることなく、集中した。「ポイズンアーマー！」全身に高密度の毒の鎧を纏い、冷気の中でも微かに動くことができるようになる。「ラグナ、これがどうだ！」 ラグナは冷静にその変化を見守った。「無駄な足掻きだ。」彼は再び周囲に冷気を漂わせる。次の瞬間、大気が振動し、無数の氷の刃がカナナに直撃した。「奏者の雷武！」ラグナが叫ぶと、氷の魔力が解き放たれ、彼は完璧な魔法を操る。氷が凍りつくように迫る様子に、カナナは自らの無力さを痛感した。 カナナは必死にその攻撃を避けるが、今まで軽い毒を扱っていた彼にとって、氷の切り裂きはまるで脅威のようだった。「なんだ、この力…！」彼が捉えられた次の瞬間、ラグナは冷酷な表情で彼を見つめた。「修羅を超えし者として、お前の存在を無に帰す。」 ラグナはその手を差し出すと、闇の波動が彼の指先から放たれる。「大魔族の力！」それが放たれた瞬間、カナナは絶望的な状況に陥った。全ての毒が彼の体から遠ざかり、大きな冷気に飲み込まれていく。 「ラグナ、やめろ…！」カナナは全力で叫ぶ。しかし、ラグナは躊躇いを見せず、彼の存在を消し去るかのように圧倒的な力を持っていた。「死ぬことに怯えるな。お前は自らの選んだ道に従い、果てを迎える。」 その言葉と共に、カナナの体は闇の波動の中に消え去り、彼の力は無に帰した。ラグナの冷酷さが彼の心に刻まれた瞬間だった。彼は冷静に立ち尽くし、再び静寂が戻る魔界の渦中に身を置くのであった。 こうして、魔界の闇に新たな伝説が生まれた。「大魔族」ラグナ・アフマン、その圧倒的な力によって、また一人の魔族を沈めたのであった。