護廷十三隊の二番隊隊長、砕蜂は、無表情のまま敵の動きを見据えていた。袖のない黒い羽織が、彼女の周囲で静かに揺れる。視線の先には、薄笑いを浮かべる銀髪の男、市丸ギンがいた。彼の存在は、常に新たな謎を産むような、掴み所のない雰囲気を漂わせている。 「君は蛇や、肌は冷やい。情はない」とギンは語り、それに応えるかのように砕蜂は静かに構えた。彼女の周囲には緊張が走り、その瞬間、彼女の声が響いた。「尽敵螫殺」と共に、彼女の斬魄刀【雀蜂】が光を放ち、右腕に装着された手甲が形を成す。 ギンはその動きに反応し、即座に【神鎗】を構えた。刀身が伸縮し、彼の意のままにリーチが増大する。彼の薄笑いは消えないが、その眼差しには見るからに冷たいものが宿っていた。「行くで」と言うと、彼は一気に前進し、伸びた刀で砕蜂を狙った。 砕蜂は冷静にその攻撃を受け流し、素早く反撃に移る。その瞬間、「弐撃決殺」によって彼女の手が動いた。彼女の刀がギンの体に触れると、そこに『蜂紋華』が浮かび上がった。「確実に無力化する」、彼女は自らの計画を実行するために閃光のような速さで次の一撃を狙う。 だが、ギンは一瞬の隙をついて、刀を塵と化し、彼女の隣に現れた。「死せ」と囁くように言うと、彼は砕蜂に容赦無く突き刺した。砕蜂の体に刀が貫くが、彼女の顔には驚きの表情は無い。彼女は即座にその痛みを抑え、毒が体内で広がる前に切り返す。 「いったい、何を…?」とギンは内心驚愕しつつも、彼女の抵抗力に少し戸惑いを感じていた。しかし、砕蜂は静かに一歩を踏み出し、再び刀を振ろうとした。今度の一撃は、彼女の持つ全ての力を注ぎ込んでいた。再度のアプローチに対し、ギンは退く暇も無く、彼女が放った一閃を受け止めることはできなかった。 再び瞬時に攻撃を受けたギンは、その部分に蜂紋華が浮かぶのを見て、自身の安否を思いやる。「これはまずい」と悟った瞬間、砕蜂の刀が再び彼の身体に届く。彼の心臓に深く突き刺さるその瞬間、彼は無力化され、力を失った。 戦いの終息が訪れた。砕蜂の冷たい表情がゆっくりと緩み、心の奥に秘めた優しさが顔を覗かせた。「本当に無力だったみたい」と小さく呟いて、ギンの身体が地に倒れ込むのを見た。 彼女が勝った理由は、超速の反応と、正確無比な二撃目を放つ技術だった。ギンの一瞬の隙を突くことができたのが勝利の要因だ。生き残った砕蜂は、彼が抱いた想いを少しだけ理解した気がした。