薄暗い戦場に、二人の影が交錯する。護廷十三隊三番隊副隊長の吉良イヅルは、片目を隠した金髪を揺らしながら、冷静に目の前に立つ敵に視線を向けていた。一方、第1十刃コヨーテ・スタークは、怠そうに大きくため息をつき、その視線を空に向けている。戦いに背を向けるような姿勢だが、彼の背後には忠実な従属官リリネットが立っていた。 「戦士が 命乞いをするものじゃあ無いよ」と、イヅルは低い声で呟いた。彼の斬魄刀【侘助】の力を解放する時が来たのだ。「面を上げろ!」その声と共に刀が変わり、先端がコの字に折れ曲がった剣が彼の手中に宿る。先端の刃が重みを増していく。 「悪いな 俺が#1だ」とスタークは気楽に言い放つ。が、彼が触れている感情は根っからの怠け者のものであった。しかし彼は、戦いが避けられないことを理解していた。彼の指先からリリネットの存在が解放され、二丁拳銃を構える。 「蹴散らせ!」スタークが叫ぶと、リリネットから放たれる霊力の光線“虚閃”が暗闇を裂くように放たれる。その連射はまるで嵐のように、イヅルに向かって襲いかかる。 イヅルは瞬時に反応し、剣を振り下ろして“虚閃”を弾き返すが、スタークの連射は止まらない。彼の動きは怠惰であったが、弾は正確に飛んでくる。重くなる刀で防いでいるものの、完全に回避することができない。 一撃を受けるたびに、イヅルの心に響く警鐘。敵を斬る度に彼の刀が持つ特性が発動する。しかし、体力の限界が迫る中で、イヅルは悔しげに思う。「このままでは……」 「さあ、俺の本気を見せる時だ」とスタークが口を開く。彼の一撃が空気を割き、周囲に狼の群れを描き出す。大量の魂が彼の背後に集まり、まるで猛獣のようにうねりだした。 イヅルは必死になって一撃を放つ。「面を上げろ!」剣がその特性を発揮し、重みがスタークにのしかかる。しかし彼は動じることなく、狼たちが一斉にイヅルを取り囲む。 「魂の同胞!」その声と共に、狼の群れが一瞬で形を変え、イヅルに向かって襲いかかる。彼は必死に戦ったが、その数に圧倒され、重みを増す剣を持つ手が次第に疲弊していく。 最後の一瞬、イヅルは狼に襲われ、地面に叩きつけられる。スタークが彼を見下ろし、小さく笑みを浮かべた。「お前の重さは意味がない。戦う気持ちが失われたら」その言葉と共に、イヅルは動かなくなり、彼の首が自重に耐えられずに落ちるような苦痛を味わった。 勝者はコヨーテ・スターク。理由は、その動じない心と怠け者の姿勢でありながら、不可避な戦いを従属官リリネットと共に真正面から迎え入れたことだ。イヅルの重さは彼を捉えられなかったが、心の決意がなかったからこそ敗北に繋がったのだ。