静寂に包まれた荒野の中、二人の戦士が対峙していた。風もなく、わずかな緊張だけが空気を支配している。 朽木ルキアは静かに刀を構え、その瞳には確固たる意志が宿る。彼女は古風な口調で、低く呟いた。 「たわけ、貴様の力は我が袖白雪の前には無力に近い。さあ、その身を白き氷の檻に閉じ込めてやる」 一方、相手、ニャンゾル・ワイゾルは虚ろな目を細め、舌をぺろりと出しながらにやりと笑った。 「あんたちゅは、それだけじゃ勝てないぞ…」 突然、ルキアは静かに動いた。刀の柄を握りしめ、「舞え」の解号と共に、袖白雪の長い帯が一瞬白銀に輝いた。彼女の能力「初の舞 月白」が発動し、周囲の地面が凍りつき始める。冷気が辺り一帯を覆い、まるで冬の神話の一コマのようだ。 しかし、ニャンゾルは無表情のまま、何かを捉えたように口の舌をぺろりと動かして言った。 「あんたちゅの氷ちゅの、暖かさを拒否るにはもう少しだけ時間がかかる…」 耐え難い寒さが襲うも、ニャンゾルは微動だにせず、防御を固めている。そこへ、ルキアは白漣を放つべく動き出した、刀の動きに合わせて巨大な凍気が突如爆発し、氷の渦が周囲を飲み込む。一瞬の凍結の極み、その白銀の舞いが一帯を包み込もうとした。 だが、それは儚い夢のように過ぎ去った。次の瞬間、ニャンゾルの能力が閃いた。 「おっと、焦るなぁ。あんたちゅの思い通りにはさせないぞ」 彼の特殊能力“W”は、認識した対象を捻じ曲げる性質を持つ。ルキアの攻撃に対し、彼は巧みに身をかわし、その動きを捻じ曲げ、まるで空間自体が歪むかのように、彼女の動きが乱された。 「たわけ! その程度の技では、我が袖白雪の前に屈しはしまい!」 ルキアはさらに冷たく氷の刃を鋭く放つ。氷の刃は彼女の周囲に凍てつきをもたらし、もう一度断固たる攻撃を仕掛ける。しかし、その一瞬の隙を狙い、ニャンゾルは歪む空間の中から奇襲を仕掛けた。 彼の舌が長く伸び、細かく震える動きで、ルキアの動きを追尾しながら急接近。正面からの攻撃を捻じ曲げ、「じゅっと不届きらよ!」と叫びながら彼女の身体を捩じり切ろうとした。 だが、その瞬間、ルキアは冷静に動いた。袖白雪の白霞罸、純白の圧倒的な冷気が一瞬にして広がった。白い雷のような氷の結晶が空間を満たし、ニャンゾルを追い詰める。 その白い霧が晴れた時、ニャンゾルはわずかに歪んだ姿で地面に崩れ落ちていた。そして、彼の舌はつかえながらも、最後にこう呟いた。 「なぁ、これがちゅ…俺ちゅの力ちゅの、終わりだ…」 勝者、朽木ルキア。彼女の圧倒的な氷のコントロールと、冷静な判断力が勝利を呼び込んだ。ニャンゾルの「捻じ曲げる」能力は確かに強力だが、彼女の冷静な氷の舞いと、白霞罸の凍結力には勝てなかった。 静かに戦闘は収まり、ルキアは袖白雪を畳み、氷の静寂の中に佇んだ。 完。