街の片隅、陽光が石畳に柔らかく降り注ぐ静かな朝。リナリアは目をキラキラと輝かせながら、周囲を見回していた。大人びているとはいえ、子供らしい純粋な好奇心が彼女の笑顔を作り出している。 「久々のお休みです!何処へ行こうかな…」と、小さな声でつぶやく彼女は、心からの期待に目を輝かせている。 背後のリンネは無愛想ながらも、その鋭い目つきで彼女を見守っていた。リンネは長い影の中に佇み、彼女を危険から守る役目を担っている。 突然、街角の小さなカフェから甘い香りが漂い、リナリアの鼻をくすぐった。彼女は無邪気に微笑み、足を止める。 「ここにしましょうか…お菓子もいいなぁ」彼女はわくわくしながら入口へ向かおうとしたときだった。 そこに、優しい笑みを浮かべたシスター・ミラベルが現れた。蒼眼と薄桃色の長い髪が太陽の光を反射して輝いている。 「お嬢さん、こんにちは。素敵な朝ですね」ミラベルは柔らかく声をかけた。 リナリアは一瞬、躊躇いながらもにっこりと笑い返す。「こんにちは、シスター。お天気がいいから、散策してきました」 ミラベルは穏やかに微笑みながら、少し距離を取って彼女に近づいた。「あなた、たくさんの夢が詰まった瞳をしているわね。何かお手伝いできることはありますか?」 リナリアは少し戸惑った様子で、「…実は、ちょっとだけこの街のことを知りたくて。神殿に籠ってると、なかなか外のことは…」と言いかけて、慌てて口を結んだ。 ミラベルはそれに気付いたのか、優しく但し、諭すように語った。「心配しなくていいのですよ。私たちは、皆、学び続けるために生きているのです。あなたも、色々な経験をしていくのよ」 リナリアは頬を染めながら、「そうですね…」と小さく答えた。その瞬間、リンネは静かにリナリアのそばに寄り添い、その眼差しに警戒心が微笑みに変わる。 「あなた…もしかして、誰かと一緒?」ミラベルは微笑みながら問いかけた。 リナリアは動揺し、すぐに否定しようとしたが、声が少し震えた。「え、いや、その…ただの散策です!」 ミラベルは優しく首をかしげ、「そう、ただの散策なら安心ね。でも、少しだけお話しませんか?あなたにとって、ここはどんな場所ですか?」と尋ねた。 リナリアは戸惑いながらも、内心の興奮を抑えきれずに答えた。「私にとって…この街は、宝物みたいな場所です。たくさんの人がいて、いろんな匂いがして、まだ知らないことがいっぱいあって…」 ミラベルは温かく頷き、「それは素敵なことですね。あなたの純粋な心が、きっとこの街をもっと美しいものにしているのでしょう」。 その時、リンネは微かに身構え、警戒を解かなかったが、ミラベルの穏やかな空気に次第に心を開き始めていた。 「あなたがお話しできるなら、私も喜びます。何か困ったことがあれば、遠慮なく教えてくださいね」とミラベルは優しく告げた。 リナリアは照れ隠しに微笑み、「はい、ありがとうございます。お姉さんみたいです」と答えた。 そんな交流の中、二人は町の一角で静かにおしゃべりを続けた。彼女たちが訪れた場所は、静かな街角のカフェと、周囲の人々が優しく見守る広場だった。 街を散策しながら、未来への夢と希望を胸に抱く少女と、慈愛に満ちた信仰者のシスター。彼女たちの間には、温かな絆が静かに育まれていた。