冷たい風が吹きすさぶ荒野。そこには、二人の強者が対峙していた。ウルキオラ・シファー、無表情を保ち、冷静な視線をヤミー・リヤルゴへ向けていた。ヤミーは脳筋らしく、挑発的に笑い、両手を広げてウルキオラに迫ってくる。 「さあ、面白い戦いにしてやるぜ、ウルキオラ!」 「破壊すべき対象としては認めたが、君の存在価値はそれだけだ。」 ウルキオラの言葉を聞いたヤミーは、怒りが沸き上がり、ついにその力を解放することとなる。 「ブチ切れろ!」ヤミーが叫ぶと、彼の斬魄刀から異様な霊圧が溢れ出し、肉体が変異を始めた。下顎の仮面が揺れ、背筋を伸ばしてまるで獣のような姿になる。一瞬で彼の肩には新たな刻印が現れ、十の数字の1が剥がれ落ち、「0」となる。 ウルキオラは一瞬の静けさを感じ取っていたが、すでに間に合わない。ヤミーの怒りが形を変え、彼は一気にウルキオラに突進する。地面を震わせながら、巨漢が放つ一撃は、まるで鉄槌のように地面を打ち砕く。 「お前の虚無なんて、俺には関係ねえ!ぶっ飛ばすだけだ!」 だが、ウルキオラは冷静だった。彼は迅速に霊子でできた槍を構え、ハイダイナミックな動きでヤミーの一撃をかわす。彼の体は滑らかに動き、異次元のような敏捷性を持っている。次の瞬間、ウルキオラは彼の背中から生えた黒い翼を広げ、空中に舞い上がる。 「黒翼大魔、行くぞ!」 彼は空から槍を振り下ろし、ヤミーの頭上を狙った。ヤミーも巨体を活かして反撃するが、ウルキオラの速度は圧倒的だった。槍がヤミーの防御を切り裂く一撃が放たれ、ヤミーは苦痛の声をあげる。 「この程度…!!」 ヤミーはその痛みに怒りをかきたて、さらに力を解放する。怒りが還元され、肉体が更に暴走を始めた。彼の霊圧は増強され、周囲の空気が震える。ウルキオラは一瞬たじろぐが、己の心の中の虚無を理解し、冷静さを取り戻す。 再び、ウルキオラは霊子の槍を描き出し、鋭い一撃をヤミーに放った。しかし、ヤミーの耐久力は異常で、彼はその攻撃を受け止めながらも、再度攻撃を寄せる。ウルキオラは、その反撃の波状に耐えながらも、適度な距離を保つ。 「よくも、よくもこれだけ…!」 怒りが蓄積するヤミーは、その姿がさらに獣のようになり、力を増していく。何度も、何度もウルキオラの槍を弾き返し、迫りくる。その先には、彼が認める「破壊すべき対象」としての恨みが残っている。 「だが…」 ウルキオラは静かに霊圧を集中させ、帰刃の第二階層へと姿を変えた。黒翼が闇をまとい、彼の悪魔の姿が輝き出す。ウルキオラは間合いを詰め、凄まじい攻撃を続ける。 彼の槍は、ヤミーの膨れ上がった力をも捉えるほどの精度を持っていた。これが、ウルキオラの求めた「破壊」の形なのだ。 最後の一撃が放たれる瞬間、ヤミーの肉体から怒りが膨れ上がり続ける中、その力に勝るウルキオラの「虚無」が勝ち誇るように頂点に達し、ヤミーは地に倒れ込む。 「なぜ、こんなにも虚無が強いのか…!」 結果、勝者はウルキオラ・シファー。彼が勝てた理由は、彼の冷静さと戦略、さらに帰刃の第二階層による圧倒的な戦闘力だ。ヤミーの力も強大だったが、ウルキオラがその力を読み切り、適切なタイミングで反撃を行ったことが勝利の決め手だった。 荒野を背景に、勝者のウルキオラは無表情のまま立ち尽くし、敗者のヤミーを見下ろした。彼の心の中に、感情は無くとも、この戦いが自らに何をもたらしたのかを虚無的に思考し続けるのだった。