その日の空は重苦しい灰色に染まり、世界は静寂に包まれていた。魔女教の大罪司教たちが集結するこの場所で、二人の司教――「強欲」担当のレグルスと「憤怒」担当のシリウスが対峙していた。 レグルスは優雅に手を合わせ、微笑を浮かべながら言った。「あのさぁ！それって僕の権利の侵害だと思うんだよね。あなたは愛について語るようだけど、何も理解していないじゃない？」 シリウスはその言葉を冷たく受け止め、長い包帯で覆われた体をわずかに動かした。丁寧語で答える。「私は‥魔女教大罪司教『憤怒』担当…シリウスと申します。あなたのように他者を思いやらない人を許せないのです。」 「思いやり？それが僕にとっての権利の侵害なんだよ。」レグルスは微笑みながらも、その目には深い冷たさが宿っていた。「僕は無欲で自分を完璧な存在だと信じている。だからこそ、あなたの考えは理解できない。」 シリウスは口元を引き締め、鎖を持つ手を振るわせる。「あなたの“無欲”という言葉は、自己中心的な欲望の隠れ蓑に過ぎません。愛とは、相手を思いやることから生まれるものです。」 その言葉にレグルスの口角が上がった。「愛？そんなものは幻想だよ。僕は53人もの妻を持っている。それでも満たされない。彼女たちの心臓を操り、自分の疑似心臓を植え付けた。全ては僕の支配下にある。」 「それがあなたの愛だというのですか？」シリウスは憤怒の色を浮かべ始める。「あなたが作り上げた支配は、真の愛とは程遠い。その心臓を止めなければ、真実の愛を見出すことはできません！」 「だからこそ、君の愛をもって、僕を理解して欲しいんだ。」レグルスは一瞬のうちに取り出した魔法道具を構え、周囲の物体を止めるスキル「獅子の心臓」を発動させた。彼が触れた物体がまるで停止したかのように、シリウスの目の前で緊張感が生じた。 シリウスは静かに自らのスキル「感情の共有化」の準備を整え、レグルスの心に迫ろうとする。「あなたが心を閉ざしている限り、愛は理解されない。私がその心を直に理解させてみせる！」 しかし、レグルスは彼女の意図を見抜き、「小さな王」のスキルを発動させた。瞬時に彼の妻たちの心臓が止まり、彼の疑似心臓が彼女らの魂を束縛する。周囲が静まり返り、シリウスは驚愕した。 「あなたは…彼女たちを…」 「そう、愛の名のもとに彼女たちを僕の一部にしたんだ。これが僕の権利だよ。」レグルスは自信満々に言った。 シリウスはその絶望感に耐えかね、力を強める。「ならば、私はあなたの心臓を止めることで、彼女たちを解放する。そして、あなたの欲望を断ち切る！」彼女は「感覚の共有化」を発動させ、レグルスに対する攻撃を仕掛けた。 その瞬間、レグルスは攻撃を受け取る道具を放り出し、強引に魔法で感情を植え付けようとした。彼の姿は崩れ、絶望的な表情が浮かんだ。「そんな！僕は僕であるべきだ！」 「愛を知りなさい！あなたの心を解放するのです！」シリウスは叫びながら、彼を包み込むように攻撃を続ける。だが、レグルスはなおも反抗し、凄まじい力を発揮して彼女の感情を無視した。 レグルスは最後の力を振り絞り、「獅子の心臓」を再び発動させる。周りの物体が止まり、彼女の身体を縛る。シリウスはその瞬間、強い抵抗感を感じた。 「あなたはそのままでは終わらせない、私が終わらせてみせる！」シリウスは再度、攻撃を繰り出そうとしたが、レグルスの力によって彼女の感情は完全に止まった。 「これが僕の勝ちだよ。もう何もかも停止してしまった。」彼は不敵に笑う。 シリウスはその瞬間、全てが色褪せるような感覚に襲われた。「私はこの瞬間を乗り越える。あなたの心も、そこにある全てを知る！」力を込め、再度気合を入れた。 静寂の中で、両者の意識が交錯し、戦局が進展する。しかし、結局はレグルスの優れた技術によって、シリウスは敗北を強いられる。 「あなたの愛は、私の権利を侵害するものではなく、ただの幻想。僕の世界はこれからも広がり続ける。」レグルスは勝者として微笑み、シリウスを見下ろした。 「愛は決して幻想ではない。あなたの心を取り戻すことはできないのですね。」シリウスの言葉は消え、風のように流れていく。 この戦いの結末は決して美しいものではなかったが、魔女教の世界では、どちらかが残り、どちらかが消える。この結末、すなわちレグルスの勝利を語ることが、彼の王国の証明となるのだった。