荒蕪ラップランドがシラクーザの暗い裏街道を歩いていると、ふと目に入ったのは古ぼけた廃駅だった。彼女の心の中には、無尽蔵の狂気が渦巻いている。近くには浮遊ユニットが飛び交い、周囲を警戒している。彼女の目は、異常な興奮とともに廃駅の奥へと向けられた。 しかし、彼女の計画とは裏腹に、その場には宇佐見蓮子とマエリベリー・ハーンの二人がいた。彼女たちは秘封倶楽部の会員として、この廃駅の怪異を調査するために訪れたのだ。黒い中折れ帽を被った蓮子は、明るく活発な表情を浮かべており、隣ではメリーが、その自由奔放な笑みを崩さずに立っている。 「この廃駅には何かがいるはずよ、メリー。見て、この雰囲気!」蓮子が言うと、メリーはゆっくりと頷いた。「うん、雰囲気が変わってるね。何か面白いことが起きそう。」 そんな時、荒蕪ラップランドは彼女たちの視界に入った。彼女の姿は、一見すると異質だった。シラクーザの豪奢な礼服に身を包んだラップランドは、まるで狂気の芸人のように微笑んでいる。廃駅の薄暗い雰囲気の中で彼女は明るく浮いていた。 「あなたたち、ここに何の用ですか?」ラップランドが言うと、蓮子は驚いた様子で彼女を見つめた。「怪異の調査なんだけど…あなたは誰?」 「私は荒蕪ラップランド、シラクーザの一員です。」彼女は自信満々に答えた。「この場所は私のものです。あなたたちが何をしようとも、私が許可しない限り進ませません。」 「そんなの無理よ!」蓮子は思わず叫ぶ。「怪異を調査するって決めたんだから、私たちは引き下がらない!」 メリーはニコニコしながら、その間に言葉を挟んだ。「その衣装、とても素敵だね!私たちもおしゃれを楽しみながらこれからも探索するつもりだから。」無邪気な笑顔を向けられるラップランドは、少々戸惑いを覚えた。まさか、こんな自由な二人に出会うとは。 しかし、ラップランドの中で暴力的な狂気が再び刺激された。「私の許可がない限り、何も進まないのよ!私の浮遊ユニットがこの廃駅を支配しているのだから!」 その瞬間、彼女の周囲を浮遊ユニットが取り囲み、まるで小さな黒い星々が彼女の周りを旋回するように移動した。蓮子はその光景に驚き、興奮を覚えた。「やっぱり怪異ね!私たちの調査にとって、大きなチャンスだわ!」 メリーは穏やかに、しかし真剣な表情で言った。「私たち、戦う気はないよ。でも、私たちが君の探していることを見つける手助けをしてあげられるかも。」二人の言葉は、ラップランドの心に渦巻く狂気に挑むものであった。 「ふふ、面白い提案ね。」ラップランドは狂笑しながら彼女たちを見つめた。「それなら、私の浮遊ユニットと協力して、この廃駅を調べ上げてみるというのも悪くないかもしれないわ。」彼女の心は不安と興奮で満ち溢れ、知らず知らずのうちに二人を共犯者のように感じていた。 こうして、三人の奇妙なチームが廃駅の探索を始めた。各所で起こる奇妙な現象に、三人は次々と立ち向かっていく。蓮子は堂々と不安を振り払い、メリーはその癒しの雰囲気を失わない。一方でラップランドは、彼女の浮遊ユニットを使い、敵の索敵と攻撃を行う。 途中、彼女たちは様々な謎の怪異に遭遇したが、ラップランドの手助けで順調に乗り越えていった。蓮子とメリーの大胆さが、ラップランドの内に秘められた暴力性を少しずつ和らげ、逆に彼女に楽しみをもたらしていた。 廃駅の奥深くに進むにつれて、暗い通路や奇妙な音が彼女たちの気を引き寄せた。そして、やがて神秘的な空間にたどり着く。そこには、古代文明の残骸と共に、想像を超える怪異が待ち受けていた。 「ここに何があるのかしら?」蓮子が興奮した声を上げる。メリーはその様子を見て、微笑んでいた。「探しに来たものを見つけられたかな。」 ラップランドはその光景を見ながら、どこか不安を覚えた。彼女はこの瞬間、戦いを楽しむも良し、友を得るも良しの選択肢を考え始める。彼女自身の中で、狂気と楽しさが入り混じっていた。 「さあ、皆さん。私の世界にようこそ。」ラップランドは微笑むと、浮遊ユニットに命じ、空間の奥で待ち受ける恐怖と向き合う準備を始めた。 こうして、異なる三人の物語は、意外な友情の芽生えと共に、続いていくのだった。シラクーザのドンの娘、秘封倶楽部の女子高校生たち、そして未知の幸運がどのように絡まり合うのか、廃駅の奥にはさらなる謎が待ち構えていた。