虚圏の隅々まで響くほどの怒声が、岩をも裂くような轟音を立てて響き渡る。立ちはだかるのは、粗野で力強い巨漢のヤミー・リヤルゴ。そして、その前には冷静沈着な冷徹さを持つハリベルが立ち向かっている。 「番号は1〜10じゃねえ。0から9だ!」と、ヤミーは叫びながらその巨大な体を揺らし、力をみなぎらせた。両手を広げ、怒りを引き出すための儀式が始まる。「ブチ切れろ、憤獣!」 一瞬、周囲の空気が変わり、怒りの霊圧が急激に膨れ上がる。彼の肉体が変異し始め、筋肉が盛り上がり、身体は巨大化していく。その姿は、怒りに応じて異常なまでに変貌を遂げていく。肩に刻まれた数字の一部分が静かに剥がれ落ち、0へと変わる。そう、彼は最強の破面『第0十刃』なのだ。 一方、ハリベルはその異常な光景を冷静に見つめ、心を乱さずに自らの力を引き出す。彼女もまた、その手に大剣を持ち、「討て、皇鮫后」と叫ぶ。瞬時に彼女の周囲に水が集まり、鮫を模した大剣の刀身に霊圧が集束される。彼女の目は冷たく、しかし、その瞳には確固たる意志が宿っていた。 まず、ヤミーが先制する。怒りを背負い、圧倒的な力で突進する彼の一撃は、まるで山が崩れるような威力を持っていた。だが、ハリベルは意識を集中させ、その激流を受け止める。「波蒼砲!」と叫び、霊圧を溜めた刀身を前方へ突き出す。巨大な水の弾丸が吹き飛び、ヤミーへの反撃が始まる。 直撃はヤミーの左肩に命中し、衝撃で彼は一瞬よろける。しかし、“憤怒”は彼をさらに強化し、再び立ち上がる。「この程度で俺を止められるか!」と怒りの捉え方を間違えているかのように、彼は笑った。 ハリベルは冷静を保ちながら、距離を保ちつつ次の攻撃へと移る。「断瀑!」と叫びながら大剣を振るうと、高水圧の激流が発生し、彼の方へと直進する。ヤミーもその圧に応じるように、更なる怒りを放出し、巨体を立ち向けさせる。 二人は激しくぶつかり合い、周囲の砂埃が舞い上がる。しかし、次第にその流れは変わり始めた。ヤミーの怒りは強烈なものとなり、その変異は亢進していく。「ブチ切れれば切れるほど強くなるんだ!」と叫ぶ彼の声は、宙を満たし、彼の肉体はさらに巨大化してゆく。 そんな中、ハリベルは一瞬の隙をついて、今度は「虚閃!」と声を発する。大剣を振った瞬間、彼女の霊力が放たれ、扇状に拡がる強大な波動がヤミーの方へと迫っていく。暴風のような力が、巨漢の姿を貫こうとした。 しかし、ヤミーはその一撃をも受けることでさらなる怒りを加速させる。立ち上がった瞬間、彼の眼には真紅の光が灯り、彼の能力はどうしようもない強力なものへと昇華していく。「これで終わりだ!」と吼え、彼は一気に突進する。 その瞬間、ハリベルは冷静に回避するが、次の攻撃を考慮しきれず、やはり反撃の準備を整えるためには、ここで近づかざるを得ない。「ハリベル!」と彼女自身を鼓舞し、最後の反撃へと力を集中させる。だが、ヤミーの圧倒的な体格と怒りが、さらなる脅威となって立ちはだかる。 ヤミーの怒りがその力量を無限にしていく中、ついに彼の一撃がハリベルを捉えた。彼女はその圧倒的な力に抗うことができず、瓦礫が舞う中、じりじりと敗北へと向かって行く。 「そんな…私が…負けるわけが…」言葉は途切れ、彼女の身体は地面に崩れ落ちた。ヤミーは勝ち誇ったように立ち尽くし、彼の怒りが引いた時、ハリベルは静かにその場に倒れ伏した。 「そう、俺が強いんだ」と、勝者は自らの力に酔いしれながら呟く。ヤミー・リヤルゴ、第0十刃の名に恥じぬ勝利を手にした瞬間であった。