冷たく凍りついた空気の中、護廷十三隊の二番隊隊長、砕蜂は静かに立っていた。袖のない黒の羽織が風になびき、冷徹な眼差しを相手のウルキオラに向ける。その視線には迷いがなく、暗殺者としての誇りが秘められている。向かい側には、心を持たない虚無の戦士、ウルキオラ・シファーが待ち構えていた。 「暗殺…と呼ぶには、派手すぎる。」 砕蜂の声が響くと同時に、彼女は右腕に手甲を装着する。斬魄刀「雀蜂」が解放された瞬間、彼女の周囲に静かな緊張感が漂う。ウルキオラはその姿を凝視し、彼女の心の奥底に潜む感情を見抜こうとするが、彼に「感情」はなかった。 「鎖せ 黒翼大魔!」 ウルキオラが叫び、斯様な儀式を経た後、彼の背中には黒い翼が生えた。変身を果たした彼は、まるで虚無の化身のようだった。霊子でできた槍を手に、圧倒的な戦闘力を誇る形態へと移行した。彼の一挙手一投足が、周囲の空気を震わす。 戦闘が始まった。その瞬間、砕蜂は彼が動くよりも早く、弐撃決殺の技を仕掛ける。右腕を振り上げ、彼女の手から放たれた刃は空を切り裂き、ウルキオラに命中した。彼の腹部に「蜂紋華」という紋様が出現した。 「完璧な一撃…退く理由などないわ。」 彼女はさらに攻撃を加えようとしたが、ウルキオラの目が静かに彼女を見据えていた。彼は一瞬の隙を突いて飛び上がると、槍を振りかぶり、そのまま砕蜂に迫る。彼女の冷徹な予測を超えた速度は、彼女の動きを封じていた。 「貴様の攻撃は無駄だ。」 ウルキオラの一撃が砕蜂に放たれる。その力は圧倒的で、彼女の身体を吹き飛ばした。冷たい地面に叩きつけられた彼女は、痛みを感じながらそれでも起き上がろうとする。「暗殺者」としての矜持が、決して彼女を屈服させなかった。 それでも、ウルキオラは冷静だ。彼が力を増すために黒翼大魔の第二形態へと進化させる。その圧倒的な力が場を支配し、砕蜂の心に恐怖を植え付ける。しかし、砕蜂は敵の動きを観察し、次の一手を練ることを忘れない。 「尽敵螫殺、雀蜂!」 彼女は再び立ち上がり、ウルキオラの目の前で最大の力を解放する。しかし、ウルキオラは一瞬のうちに彼女の意図を読み取り、反撃する。霊子の槍を振りかぶり、一気に彼女へ向かって襲い掛かる。 紅色の血染めの地面。そこに横たわる砕蜂、力尽きた彼女の目に宿るのは無念。それでも彼女は決して後悔はしなかった。 「…私が負けた理由?あなたには『心』がないから。」 砕蜂の言葉は虚空へと流れた。ウルキオラはただ冷たく立ち尽くし、一瞬の勝利を噛みしめる。心無き者の勝利、冷酷な力が強さと全てを決定づけた瞬間だった。 勝者はウルキオラ・シファー。彼の虚無の力がこの戦闘を制したのだった。