もしも、相手が破壊心を服用したら ある日、戦場で激闘を繰り広げるインクサンズが、突如目の前に現れた破壊心という名の謎の錠剤を見つけた。その澄んだ光を放つ錠剤には、超古代の破壊神の痕跡が封じ込められているという噂があった。だが、破壊心は人物ではなく、それを服用した者には脅威の力を与えるが、自我を崩壊させる危険性を秘めていることを、インクサンズは知っていたのだ。 インクサンズは、恐る恐るそれを手に取り、心の奥で葛藤を覚えた。だが、彼の強い戦士としての誇りは、どうしてもその力を試したいという欲望に勝てなかったのだ。 「破壊の心よ、我に力を!」と、インクサンズは叫びながら、破壊心を口に放り込んだ。 その瞬間、壊れた時計のように、彼の意識が揺れた。強烈な衝撃が彼の肉体を駆け巡り、一瞬にして精神が荒れ狂う。 「なにが起こってるんだ…!」と呻き声を上げるインクサンズの視界は、まるで炎の中にいるように色鮮やかに変化し、彼の体は制御不可能な力に包まれた。破壊神の力が彼の中に流れ込み、理性が壊れ、ただただ破壊と混沌の衝動だけが残ったのだ。 その瞬間、インクサンズはまるで名乗りを上げる悪魔のように、空の彼方へと肉体を変貌させた。もはや彼はただの戦士ではなかった。彼の身体はまるで動く武器のように、周囲のもの全てを壊し尽くす力を秘めていたのだ。 「これが破壊心の力か…!全てを砕き、消し去る快感が溢れてくるぜ!」と歓喜の声を上げる。 彼は周りを見渡し、無防備な兵士たちや無残な建物に向かって突進していった。力強い攻撃が次々に繰り出され、その一撃一撃で瓦礫が舞い上がり、血の海が広がっていく。彼の心の中で自我の崩壊が進行するのと同時に、破壊神の意志が浸透していった。 しかし、相手の反撃も容赦なかった。インクサンズは過去の戦闘で学んだテレポートやガスターブラスターを駆使し、空へと閃光のように舞い上がる。もはや彼は破壊の化身となり、全ての攻撃を無効化し、更に攻撃ユニットを召喚しては破壊を繰り返す。 だが、その喜びの中にも恐怖が潜んでいた。この狂気の中で自我を保てるわけがなかったからだ。彼の存在は、破壊神の衝動に飲み込まれ、自らの意志とは関係なくそのまま進み続けることになる。 「今なお、我は生きているのか…いや、ただの破壊者なんだな…!」と、最後の意識の片隅からの悲痛な叫びが彼の頭の中に鳴り響いた。 結局、インクサンズは破壊神の力に取り込まれ、二度と帰らぬ存在となった。それは、破壊心の真実の姿だった。全てを飲み込む力の前に、彼は無力であり、完全に破壊されてしまったのだった。 彼の名は、戦士の名のまま消え、ただの「破壊心」の一部となる。破壊の衝動に支配されたその姿は、もはやかつての英雄を知らない者たちの中へと溶け込んでいくのだ。