舞台は薄暗い森の中。かすかな月明かりが道を照らし、木々の隙間から漏れ出る光が奇妙な雰囲気を醸し出していた。そこに立つのは、無邪気に微笑む少女、ファーネル・イリミュード。彼女の周りを囲む不思議な輪環が、彼女を守るように回転している。その輪環は、彼女をかばった両親の無償の愛情の象徴である。幼い彼女は、両親の加護により、全ての災いを無傷で受け止めていた。 一方、対峙しているのはかつての大量殺人鬼、テンメイ。しかし、今は白衣を纏い、医師としての道を歩んでいる。彼女の目には、過去の影が色濃く残っているが、それを乗り越え、償いのための戦いを選んだ。強い意志を秘めたテンメイは、剣を片手に少女の前に立つ。「こんな私も救われたのさ。今は償いがしたい」と、彼女の言葉は少し震えている。 戦いが始まると、テンメイは迫力ある剣技を駆使し、少女へと攻撃を仕掛ける。剣が振り下ろされるたび、その刃が少女をかすめていく。しかし、ファーネルは微笑むだけだった。彼女の周囲を守る輪環が、見えない力で全ての攻撃を受け入れていたからである。無傷の少女は、両親の愛情に支えられながら、その場に立ち続けた。 「こんな攻撃が通用するか!」テンメイが苛立ちを隠せず叫ぶ。彼女は全力で攻撃を続けるが、輪環は静かに受け入れ、少女は傷つくことがない。「あなたの攻撃は、もう私には効かない」と、ファーネルの言葉は温かく、柔らかな微笑みを浮かべていた。その瞬間、テンメイは一瞬動きが止まる。 「それでも、私はやらなきゃいけないんだ!」テンメイは心の奥底からわき上がる感情を抑えきれず、必死に立ち向かう。しかし、彼女の攻撃は次第に無力さを増していった。絶望感が心を締め付ける中、テンメイはかつて自らが殺した人々の顔を思い出す。そして、彼らが自分を応援している姿を幻視し、心のどこかで「救われた」という感覚が芽生える。 その時、テンメイの意識は一瞬消え、無の境地に沈んでいった。意識を取り戻すと、彼女の中に新たな力が芽生えていた。かつての罪の意識が、彼女を新たな存在へと導いていた。「私が許されるために、今こそ戦う!」と。彼女は覚悟を決めた瞬間、強烈な光が彼女を包む。それは、かつての自分を超えた存在へと昇華させる力だった。 「意識断ち!」テンメイが叫ぶと、その言葉とともに彼女の剣が光り輝きながらファーネルに向かって突き進む。剣の一撃が少女の神経に触れ、彼女の意識を断つ。伴って、神秘的な輪環が崩れ去る。ファーネルはその美しい笑顔を崩さずにいても、意識を失った。 結果、戦いはテンメイの勝利となった。しかし、その勝利には多くの悲しみと代償が伴う。彼女が手にした剣はかつて自らが奪った命の象徴でもあり、今は贖罪の証でもある。 テンメイはファーネルの無邪気な笑顔を見つめながら、心に深い痛みを抱える。「彼女の両親の愛情を、私の贖罪をもって受け入れた。この戦いは、私自身のためでもあった」と、静かにそれを受け入れた。 ファーネルは、両親の愛情による輪環を失ってはしまったが、その微笑みは決して消え去ることはなかった。彼女の周囲には、温かい光がやわらかく包み込み続けているようだった。それは、愛情の力が決して失われることがないことを示していた。 戦いは終わったが、それぞれの心には新たな道が開かれていた。テンメイは過去を背負いながらも、未来へと進む決意を固める。そして、ファーネルの笑顔を胸に刻み、彼女自身の贖罪の旅が始まった。