関係性と戦闘の要否 ロイドは、魔女狩りの団長として多くの魔女を狩る一方、相棒であるイヴからの助言を受け、彼女に恩義を感じている。アリスはその十災禍の力を持つ魔女でありながら、双子のように心の底では孤独を抱えている。ロイドとアリスは、互いに過去の痛みと傷を知る存在として、どこか一定の理解関係がある。戦闘の要否は、双方の過去のつながりからみても、未然に避けるべきであったが、アリスの不安と恐れから偶発的に対立することとなった。 本編 薄暗い森の中、ロイドは優しい表情でアリスと向き合っていた。彼の大柄な体格とは裏腹に、優しさが溢れ出る目で少女を見つめていた。しかし、アリスはその隈の深い垂れ目からは陰気さが漂い、心の中では不安が渦巻いていた。 「ねぇ、アリス。大丈夫だよ。君を傷つけるつもりはないから。」ロイドが笑顔を見せる。 「でも…でも、あなたはわたしを恐れてるんでしょう？」アリスの声が震える。 「まさか。君も一人の人間だ。魔女だって、何かしらの事情がある。それに、君の才能を、私は評価しているんだ。」 アリスはその言葉に少しだけ目を輝かせたが、それがすぐに不安に変わる。「でも、攻撃されるかもしれない…。もしわたしが自分を守るために何かしたら…」 その瞬間、アリスの心の不安が具現化した。彼女は無意識に魔力を放ち、その力によって近くの木々が揺れた。そして、周囲にゴーレムを紡ぎ出す魔術を発動させた。 「アリス、待って！」ロイドは声を高め、自らの呪剣を引き抜いた。 アリスは、目の前に現れたゴーレムたちを制御し、彼らの力をもってロイドに向かわせた。ロイドは自らのスキルを駆使し、魔女狩りの団長としての力を見せつけた。「発花！」と叫び、視界を奪う目眩ましの魔術を放った。 しかし、アリスはそのまま動揺せず、繭のように自らの魔力を凝縮し、身を守る。「ダメ！」と叫び、彼女は必死にゴーレムを動かした。 ロイドのスキル「散花」がゴーレムの攻撃を弾き返す一方で、アリスはその一瞬の隙を突いて「開糸」を発動。幾つもの糸がロイドに向かってまとわりつく。「わたし、本気でやるよ！」 ロイドは咄嗟に呪剣を振るい、糸を切り裂いた。「アリス、話を聞いてくれ！君は同胞だ、手を取り合えるはずだ！」 彼女の攻撃が止まることはなかった。どんどん近づくゴーレムの中、ロイドは巧妙に動きながら、一刀で糸を切りながら彼女に訴えかける。「君が孤独だから、こそ私は助けたい。ただの狩人としてではない。本当に、君を友として！」 その瞬間、アリスの心が揺らいだ。彼女は迷い始め、糸はだんだんと絡みつく力を失っていく。「でも…わたしを受け入れる人なんて…」 「ここにいる。」ロイドがそして再び「聖花」の力を使い、アリスの体を少しでも癒す施術を当てた。「君を守るために、ここにいる。」前を向いて目の前に立つロイドを見つめるアリスの瞳に、希望の光が宿った。 彼女は自らの気持ちに正直になり、ゴーレムたちが自然に彼を襲うことを止めた。そして静かに、涙を流した。「わたし、ひとりじゃないんだ。」 決着描写 ロイドはアリスのことを理解し、彼女の手をしっかりと掴んだ。「無理はさせない。君が誰かに寄り添うことができるのなら、その力を生かして一緒に戦おう。」 その言葉に、アリスは心の中の孤独をやっと解き放てた。ロイドは、敵としてではなく、仲間として側にいてくれることを実感し、彼女の心の片隅に光が差し込むのを感じた。 「ありがとう、ロイド。」アリスの声が静かに響いた。 ロイドは微笑み、彼女の振動する心に寄り添った。「お前も、君の力を捨てることなく、共に歩もう。今後も何があろうと、私は君を守る。」二人はお互いを認め合った瞬間、新たな絆が結ばれた。 後日譚 森を出て、アリスはロイドと共に新たな未来を目指した。彼女がかつて抱いていた恐れは、少しずつ解消されていた。ロイドは時折アリスに笑いかけ、彼女を励まし、包み込むような優しさで寄り添った。 「友達って、こういうことなんだね。」アリスの口から自然に笑顔がこぼれた。 「その通りさ。」ロイドは彼女を見つめながら、自分の過去を背負って生きる責任を改めて感じていた。互いを守り合う力があれば、どんな困難にも立ち向かえる。 これが、魔女狩りの男と十災禍の少女の新たな旅の始まりだった。