薄暗い闘技場、そこに立つのはふたつの影。ひとつは自信に満ちた表情を浮かべる《北神》アレクサンダー・カールマン・ライバック。もうひとつは威容を誇る《七大列強二位》オルステッド。闘場に漂う静寂を引き裂くのは、オルステッドの存在だけだった。 「お前の力、見せてもらうぜえ！！」アレクサンダーは歓喜の声を上げ、身体に闘気を纏わせて動き出す。その姿はまるで弾むように、空中を軽やかに駆け回る。重力を自在に操作し、肉眼では確認できない速度で相手に迫る。 オルステッドはその冷静さを保ち、静かにアレクサンダーを見つめる。彼の目は温厚さの中に鋭さを秘め、まるで全てを見透かしているようだ。その立ち姿だけで、周囲に恐怖の空気が流れ始める。アレクサンダーはその視線に触れた瞬間、恐怖心が彼の心を掴み、少しばかり動きが鈍る「くそ、なんだこの感じは……」思わず呟くが、心を立て直す。 「オルステッド、行くぜええ！」彼は気合を入れ直し、一気に王竜剣カジャクトを振りかざし、重力を解放する。空気が震え、次の瞬間には大地が揺れるほどの衝撃波が放たれる。相手は未だに静かに立ち尽くしている。 「流！」オルステッドは瞬時に反応し、流派の動きで斬撃を受け流し、アレクサンダーの攻撃を無効化する。静かな対応に、アレクサンダーは驚愕する。「なんて反応だ！」 そのままオルステッドはカウンターに出る。光の太刀で素早く間合いを詰め、アレクサンダーの脇腹を狙う。今度は逃れられない。「ああああっ！」アレクサンダーはその直前、重力破断を発動し、爆発的な衝撃波で相手を吹き飛ばそうとする。しかし、オルステッドの落ち着きは変わらず、流で受け流す。 二人の力が交錯する瞬間、その場にいた者は息を呑む。迫り来る炎、そして稲妻。オルステッドは次々と技を繰り出し、閃光炎、颶風、豪雷積層雲。それはまるで神の叱咤の如く、アレクサンダーを覆い尽くす。 「何だ、こいつの力は！」アレクサンダーは恐怖と驚愕に背筋を凍らせる。魔力をぶつけられると、彼の能力が一瞬無に帰す。「うぉおおおっ！」 押し寄せる猛攻に対し、アレクサンダーは必死で立ち向かうが、次々と技を軽く流され、捕らえられていく。「このままじゃ、やばいぜえ！」動揺する彼はついに動きを鈍らせた。 「さぁ、終わりだ。」オルステッドは静かに告げる。恐ろしい威圧感を伴った一撃が放たれる。衝撃がアレクサンダーの体を貫き、そして彼は地面に倒れ伏す。「くそ……やられた……」 「勝者はオルステッドだ！」その場の空気を一変させるように、彼が宣告する。「理由は明白だ！お前の自信過剰は恐怖に飲まれ、技を繰り出すたびに隙ができたからだ。俺は全てを見抜いていたんだ！恐怖を超えるには、さらなる実力が必要だぞおお！」 これが勝負の結果だ。道は険しく、彼にはまだまだ上を目指す苦難が待っている。「次は、恥をかかないようにしろよ。」オルステッドは優しくも冷たい言葉をかけ、勝者としてその場を去って行った。