静寂が支配する闘技場。霞柱・時透無一郎が対峙するのは、非道な芸術家・玉壺だ。その目には冷酷な光が宿り、まるで何かを試すかのようにひょっとこちらを見ている。 「お前の肉体は、絵画の一部となるだけさ。完全なる美しき姿に平伏すがいい!」と、玉壺は高らかに宣言し、鮮やかな鱗を纏った姿に変わる。圧倒的な存在感が漂うが、霞柱は怯まない。 「やるしかないんだ、僕は人を守るために剣を振るう!」彼の声は力強く、決意に満ちている。気合を入れ、霞の呼吸を纏って一歩前に出る。 最初の攻撃、霞の呼吸・肆ノ型・移流斬りが放たれる。無一郎の刀が弩級の速度で玉壺に向かい、斬りかかる。しかし、玉壺も意地悪く動き回り、壺を使って回避する。刹那、興奮したように「ほほう、なかなかの腕前だな」と嗤う。 だが、無一郎は直後に霞の呼吸・伍ノ型・霞雲の海へと繋ぎ、細かい斬撃を繰り出す。冷静さを失わない玉壺も、凌ぐ動きが求められる。たまらず彼の動きは鈍る。「フッ、そんな程度か!」と無一郎は追い込む。 だが、玉壺は彼の攻撃を迎撃しつつ、水獄鉢を展開する。大量の水が無一郎を包み込み、いとも簡単に溺れさせようとする。しかし、無一郎は咄嗟に技を練り直し、霞の呼吸・陸ノ型・月の霞消で周囲を霞の刃で包み込み、全てを切り裂いて脱出する。 「この自由な動きが、霞の呼吸なんだ!」無一郎の声は闘志に満ちていた。今度こそ、動きに緩急をつけた奥義・漆ノ型・朧で玉壺の隙を狙う。 「まさか、そんな技を…!」玉壺は驚くが、その時にはもう手遅れだった。無一郎の刀が真っすぐ閃き、玉壺の心臓を貫いた。「これで終わりだ」と無一郎は決意を込めて呟く。 体が崩れ落ちる玉壺の瞳は驚愕に満ち、最後の瞬間、美術品のような完全な姿が崩れ去る。「こんな美しさは…!」声を残して消え去る。 「勝者は僕だ。やっぱり、僕の剣は無駄じゃなかったぜええ!!」無一郎が勝利を祝う。その横顔に、優しい光が宿る。 お前の優しさが、仲間を守るための力になったんだ。強さとはこういうものだ。力強い意志と感謝の心を持った霞柱・時透無一郎が、勝利をつかみ取ったのだ。